隂山英男氏らの教育現場での体験から、子どもたちの頭脳は磨けば磨くほど成長し発達すること、頭脳の健全な発達が、しっかりした食事と規則正しい生活習慣によって促されることなどがわかっている。そこで隂山氏らは、賢く健康な子どもを育てるための親や教師の心がけとして、「早寝・早起き・朝ご飯」の実践を提唱してきた。
夜更かしさせずに早めに就寝させて十分な睡眠を取らせる。朝は早く起こして、しっかりと食事をさせる。こうして育て、充実した国語、算数教育を施した子どもたちが信じがたくもすばらしい成果を達成してきた姿は、多くの報道によって伝えられてきた。
ところが、日本教職員組合系の教育総研では、「早寝・早起き・朝ご飯は憲法違反」だとして非難されているのだ。
教育の現状や、韓国資本に不動産を買い取られつつある対馬の現状に警告を発してきた自民党参院議員の山谷えり子氏が語る。
「日教組系の人たちの教育への影響はまだまだ強いものがあります。彼らは驚くようなおかしなことを時として、主張します。早寝・早起き・朝ご飯の指導は憲法違反だというのも、その一つです」
教育総研の「総研ノート」のコラムから、彼らの主張を拾ってみよう。運営委員の池田賢市氏が、2007年12月20日付で書いている。
「近代立憲主義における政治体制においては、(中略)、価値における多様性の保障が大前提である」「『早寝・早起き・朝ご飯』は、人の生活の仕方、生き方という、憲法の下でけっしてその価値の優劣を示してはいけないことがらに踏み込もうとする違憲のスローガンである」「少なくとも、夜更かしや朝食を食べないことが公共の福祉に反しないことは確かである」
ここで私は、ある女子中学生の反問を思い出した。少女売買春が「援助交際」として横行する実態を報じた番組で、売春をする少女が、自分の体を自分が売って何が悪いのかと、取材中の記者に挑むように問うたのだ。
価値の多様性を楯にした憲法違反論と、自由と権利をはき違えた少女の主張の、なんと似ていることか。
それにしても、食事も取らずに登校し、朝礼で貧血を起こしてばったり倒れる子どもは今、珍しくない。「公共の福祉に反しない」などという前に、子どもの心身の健康を考えるのが、教師の責務であろう。
不祥事続きの大分県での教育にも目を向けてみよう。大分県教職員組合が作成した08年2月の「『建国記念の日』って何?」という印刷物だ。
内容は、2月11日の建国記念日を祝ってはならない理由を、祖父と孫娘の会話の形式で解説したものだ。祖父は孫娘に建国記念日はかつての紀元節で、神武天皇が橿原宮で初代天皇に即位した日に由来するが、それは史実ではないと教え、次のように語る。
「『紀元節』と聞くと戦争を思い出しておそろしいんだ。もともとは『戦争・天皇制』をたたえる日だったからなぁ」「2007年に『国民投票法』が成立したんだが、これによっていずれ憲法が改悪され、日本が戦争のできる国になって、若者たちが兵隊にとられていくんじゃないかと心配でたまらないんだよ」
こんな曲がった解説をするような日教組系教師たちには、とうてい教育は任せられないと思う。だが、近未来に政権を取るであろう民主党の参院議員会長で山梨県教職員組合の元委員長だった輿石東氏は、1月14日、日教組の会合に参加し、挨拶した。
「私も日教組とともに戦っていく。永遠に日教組の組合員であるという自負を持っている」「教育の政治的中立はありえない」
民主党政権ができれば、こんな教育になっていくのか。少なからず危惧の念を抱くゆえんである。(週刊ダイヤモンド)
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