3884 アメリカの知日派が不安がる 宮崎正弘

中国石油の賄賂漬け体質、米国で発覚。中央紀律委員会が異常な関心、捜査チームを発足。
大公報によれば「CCI事件」なる汚職事件が勃発し、中国の奥の院を揺らしているという。中国石油のビジネス活動は全世界に跨るが賄賂、収賄、汚職がつきものの企業ゆえに外国で当該法律に抵触すると、いきなり国際的な事件となる。
中央紀律委員会は専門チームを発足させて事件の全貌解明を急いでいる。チームは凄腕の摘発豪腕組が選抜され、まもなく捜査を開始するという。
容疑は166万元(邦貨換算で2500万円弱)の賄賂が下請け企業から中国石油幹部に渡ったとされるもので、米国の捜査資料に基づく(多維新聞網、8月31日付け)。
容疑のかかった企業には興中海油、大唐発電、華潤電力、東方電気、中国石油物資装備公司など具体的な国有企業名があがっている。
しかしちょっと面妖な側面がある。汚職の大々的な捜査にしては賄賂の額面が少なすぎるのではないか。
すでに既報のように現在の中南海の権力闘争は十月一日の国慶節軍事パレートを前に「一時休戦」の観があるものの、本質的対立構造はかわらず、上海派+太子党 vs 団派の次期権力掌握をめぐる果てしなき確執は留まるところを知らない。
団派とは胡錦涛主席が出身母体の「共産主義青年団」の略。
上海派が同派に属する周永康(政治局序列9位)、孟建柱(国務委員、公安を統括)などを通じて、胡錦涛の息子、李克強の手下どものスキャンダルを漏洩すると、すかさず団派は上海派と太子党の悪をあばく、いってみれば党内同士討ちだ。
▲舞台裏であやつるのは依然として江沢民と曽慶紅だ
上海派のボスは江沢民だが、裏で指揮しているのは曽慶紅である。曽は自らの引退と引き替えに子飼いの太子党=習近平を後継として政治局常務委員へ送り込んだ仕掛け人。
次期後継を決定的に印象づけようと、四川省地震では習近平に現地慰問に赴かせ、妻の膨麗媛(国民的歌手)と娘を帯同させ歌唱演技などをさせたりもした。
ところが中国では家族を使う政治演出は不評を買い、団派のほうに得点があがる。また急に団派にすりよる太子党の薄!)来は、習近平なんぞより自分が上と思っているからバランス上、上海派の庇護を離れて、重慶のマフィア一斉手入れという未曾有の政治劇を演出して名をあげ、一気にレースに後継加わってきた。団派のホープのひとり、王洋(広東省書記)や李潮源らは一歩遅れた。
こうした中央の権力闘争が背後にあって、上海派が中国石油の賄賂スキャンダルを利用しようとしているわけだが、資源外交を積極的にすすめている団派、とくに李克強は豪州訪問の成果として空前のガス輸入契約を結んで外交実績をあげたばかりだけに、異様な捜査入りは、あきらかに団派への嫌がらせととれる。

(読者の声1)台風は自民党を直撃壊滅せしめました。あまりにお粗末な自民党に「懲らしめ」の反対票だろうと思いますが。
というか、自民党の自壊といったほうがいいかもしれません。民主が選択されたと勘違いして藤原道長にならないことを。望月はいつかは地平に沈みます。自民党をみればよくわかります。
現実的な心配はやはり「国の安全保障」。
一国平和主義という宗教を信奉する社民党と連立するんだろうから、いってみれば包容力のある政党ですね。いっそ福島を防衛大臣にしたらどうでしょう。自衛隊の皆様には想像もしたくない悪夢でしょうけれど。中国の今朝の新聞は揃って(中国だから当たり前だけれど)この「政権交代」を報じてさらに解説を加えていました。
庚欣という「新日本研究所副所長」なる人物が新華社の網版に「(鳩山政権によって)アジア外交に期待が持てる」的な論文を書いていました(共産党が書かせている、といったほうが正確でしょうが)。亜非(アジアアフリカ)戦略を強引に推進している中国にとって、ありがたい存在ということでしょう。
岡田氏は中国におびただしい店舗を展開しているイオンの元締めだし。中国で商売がうまくいっているということの本質は、マーケティングなどではなく、権力者たちへの想像を絶する癒着だから、これからの対中国外交を考えるとなんとも暗澹たるものがあります。
外務省チャイナスクールはうれしいかもしれませんが。自民党の大失態が生んだ状況の中で、もっとも懸念するのがこのあたり。責任は重大だと思います。(W生、所沢)
(宮崎正弘のコメント)「自民」vs「民主」という政党の対決構造でみると、たしかにそうなるのでしょうが、小生はちょっと違う見方をしています。
世論動向と新聞論調とをみて、テレビの身びいきをみていれば、老人より若者、男より女、世襲より新人という交替時期にさしかっていたのは明白で、フレッシュな新人を党公認に出来なかった自民党のシステムが致命傷。
さて政権奪取の民主党ですが、これは自民党主流の金権政治「経世会」の復活であり、田中土建政治の復活であり、ロビィストは風見鶏よろしく、どっと民主へ靡いただけのこと。
ようするに姿形をかえて自民党が蘇生したのです。
郵政改悪を訴え、靖国神社参拝を強行したコイズミは博打の度胸があった。麻生はおりからのウィグル弾圧で「人権」を楯に中国を批判して敵対的姿勢をとり、靖国へ行けば、もう少しマシな成績をあげられた。それをする蛮勇がなかった。政治家に必要なのは本能的な賭けです。
鳩山「新首相」ですが、所詮はお坊ちゃん、修羅場が来ると政権を投げ出すでしょうね。いまは小沢の傀儡。プーチンのあやつり人形のメドベージェフと似てませんか?
四年前のコイズミ・チルドレンは「なにかの間違い」で代議士になって、今度は「ただの人」になってしまった。「人生も間違えなければいいが」と四年前に老婆心ながら心配しましたが・・・。
そして民主の致命的欠陥は、新しい「何かの間違い」の小沢チルドレンと、旧社会党、民社党、市民運動派との思想的、政治信条の巨大な乖離。とりわけ安全保障、日米同盟への姿勢が鮮明に異なる以上、左翼連中は昔の名前に還りたくなって分派活動を展開する可能性も高い。
日米同盟の空洞化、関係悪化を懸念する声がありますが、日米同盟はとっくにガランドウ。米中G2時代ですから、民主党に言いたいことを言わせるのが刺激となって日米間にも緊張が生まれ、結果的には良いのじゃありませんか。しかしハトに、それだけの蛮勇があればの話です。
個人的に言えば、中川昭一、西村真悟氏の議席喪失は痛恨の極み、戸井田、赤池、萩生田、島村の各氏らも。しかし平沼赳夫、稲田朋美、松原仁、古屋圭司氏らは再任され、城内実、中津川博郷氏らが議席を復活。しっかりした政治家は少数ではあれ、健在なのが救いです。
  ♪
(読者の声2)いよいよ鳩山首相誕生の様相ですか。
http://bomanchu.blog81.fc2.com/
英語ですが読んでください。こうした記事や、NY/TIMESへ寄稿した奇妙な「鳩山ドクトリン」などによって、米政府や知日派の指導者が、鳩山のビジョンに疑いを持つのですね。在米42年の伊勢爺さんは恥ずかしくて穴に入りたいほどだ。主観ではないよ。ウチの青い目のカミサンは、リベラルだが、米軍空輸の勤務では、空軍大尉なのだ。「ヘンねえ?」だとさ、、おおハズカシ~!伊勢平次郎
DPJ Leader Hatoyama Would Seek Talks With N. Korea
Aug. 23 (Bloomberg) — Yukio Hatoyama, leader of the Democratic Party of Japan, said he’ll push for “dialogue and cooperation” with North Korea should his party win the Aug. 30 lower house parliamentary elections.
“Even President Obama has begun to seek dialogue and cooperation,” with North Korea, Hatoyama said on a Fuji TV program today. “In pursuing dialogue and cooperation, if North Korea doesn’t listen to us, we’ll think about taking severe measures.”
Hatoyama was responding to Prime Minister Taro Aso, who heads the ruling Liberal Democratic Party, saying in the same program that North Korea is a threat. North Korea pulled out of talks with Japan, South Korea, the U.S., China and Russia in April aimed at ending its nuclear weapons program.
“We should not overlook a reality that there is a threat in North East Asia,” Aso said. “There exists a country which doesn’t share the value of democracy and conducts nuclear tests, fires missiles and abducts people.”
Previously, Aso has said the international community needs to put pressure on North Korea to persuade the communist country to abandon nuclear weapons.
Hatoyama said his diplomatic policy will be based on “fraternalism” and he will seek a way “to deal with those countries with different values,” including North Korea and China.
DPJ Leads Polls
Aso’s LDP will seek to provide Japan’s military with the ability to intercept North Korean missiles that could reach the U.S. and to defend U.S. ships, according to the party’s election platform.
A Kyodo News poll shows the LDP, which has governed for all but 10 months since 1955, may lose power to the opposition party in the coming elections.
The DPJ may win more than 300 lower house seats, while the LDP is likely to retain at least 100 seats, falling from the 300 ahead of the election, Kyodo reported today, citing its opinion poll and interviews.
As part of its platform, the LDP also would eliminate pre- school fees by 2012, create 2 million jobs in the next three years, and boost economic growth to 2 percent by 2011, according to the party’s platform announced last month.
Hatoyama said in an NHK program today that it’s “possible to squeeze out about 6 trillion yen” from the government’s 200 trillion yen spending plan for this fiscal year. Aso claims the DPJ hasn’t made clear how it would fund measures including a childcare allowance and cutting gasoline taxes.
(宮崎正弘のコメント)拝読しました。日本の次期首相になる鳩山という政治家がいかに外交にうぶか、というより無知かをさらけ出していて、アメリカの知日派が不安がるのも無理はありませんね。
      
杜父魚ブログの全記事・索引リスト

コメント

タイトルとURLをコピーしました