3939 新政権の性格は”中道左派” 古沢襄

「それ!見たことか」と社民党に振り回された民主党の体たらくに敗軍・自民党は歓声をあげる。民主党の支持者からも「社民党を支持したわけでない!」と嘆き節も出る。だが、社民党との連立を選択した以上、予想されたことである。むしろ少数党である社民党の粘り腰を評価すべきであろう。新政権の性格は”中道左派”政権である。それを国民は選択した。
新政権が誕生すれば、三ヶ月はガタガタ言わずに見守るべきではないか。水と油の連立が混乱して、国民生活に影響が出る様になれば、来年夏の参院選で国民が審判を下す。
総選挙の結果は民主党の政策に国民が賛意を示したのではない、麻生自民党に嫌気をさしたのだ、という解説がまかり通っている。各種世論調査でも民主党の目玉政策の支持が必ずしも高くない。しかし民主党が圧倒的な数で大勝したのだから、中道左派の路線に大きくカーブを切るのは避けられない。
その結果、日米関係に悪影響が出るという懸念が言われている。
その懸念はあるが、だからと言って米国が日米同盟を壊してしまうとは思えない。米国にとって日本の存在は必要な筈である。新政権が日本の国内事情を優先させるのは、国益からみて当然のことではないか。それも日米関係が基軸あると鳩山氏は繰り返し述べている。
米国も日本の国内事情に配慮した新しい日米関係を構築する方向にカーブを切る必要がある。米側の論理で日本の追従を期待する時代は去りつつある。対等な日米関係というのは、反米を意味するものではない。鳩山氏は訪米して、オバマ米大統領に日本が意図するところを、積極的に説明する必要がある。
具体的な課題として来年一月以降、インド洋に派遣している海上自衛艦の給油活動を撤収させる問題がある。アフガン情勢は米国にとって困難な局面にある。ドイツなど派兵国家からは撤兵の世論が高まっている。その時期に日本が一方的に海上自衛艦を撤収すれば、米国内の反日世論に火をつけかねない。
海上自衛艦を撤収に代わる日本の貢献を新政権は打ち出す必要がある。それは日本がアフガン復興の資金援助を約束することではないか。その財政措置をどうするか、民主党の具体策はまだ見えてこない。タリバンのテロ活動が激化している状況下で日本の文民活動を強化するのは、危険と隣合わせになるから軽々に言うべきではない。
といって、海上自衛艦の給油活動を継続するのは、民主党の公約違反になる。社民党も反対し、連立離脱に動くかもしれない。民主党の連立政権にとって極めて重要な政策判断を下す日が近づいている。この政策判断を誤れば、日米関係は一気に冷え込むであろう。それは四ヶ月足らずで新政権の基盤が大きく揺らぐことになりかねない。
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コメント

  1. M78 より:

    自民党の惨敗ではない。小選挙区の恐ろしさ、異常さと、日本の若者の軽薄さが、政治を不安定にし、日本をだめにする。
    そこを見ずに、ただ政権交代が起きてよかったと言うマスコミの目は、節穴である。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/第45回衆議院議員総選挙
    小選挙区300議席の得票率
    民主党47.4%
    自民党38.6%でそんなに大きな差ではない。
    この割合で議席を割り当てると
    民主党142議席だが、実際は221
    自民党116議席に対して、64
    これに比例代表の議席を足すと
    民主党229
    自民党171
    この数字と
    民主党308
    自民党119を比べてみるといい。
    この差が恐ろしいのである。
    民主党が229議席では、過半数の240に達していない。
    つまり、国民は民主党を第一党にはしたが、過半数は与えていないのである。

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