自民党の谷垣禎一元財務相が総裁選に立候補する弁として「誰かが捨て石にならなければならない」と語った。悲壮な決意だが、本当に捨て石になる可能性が大ありである。今の民主党の勢いからみて、補欠選挙はもちろん来年の参院選でも自民党が敗北する可能性が高いとみなければならぬ。
参院選でも大敗すれば、自民党総裁は責任をとって辞任せざるを得なくなる。僅か一年足らずの総裁となれば、まさに”捨て石”。
谷垣氏は金融再生委員会委員長、産業再生機構担当大臣、財務相、国土交通相、自民党政調会長を歴任した財政通。財政規律派の一人である。防衛政務次官の経験もあるが、外交・安全保障政策通とはいえない。
民主党と対峙するには、来年一月のインド洋に派遣して海上自衛艦の撤収を契機に外交・安全保障政策で論戦を戦わせて、連立与党の中道左派路線に挑まねばならぬ。財政政策も論争点になるが、消費税問題は参院選後の政治課題になろう。
自民党は伝統的な保守路線の高く旗を掲げて、旗色を鮮明にすることが第一ではないか。谷垣氏の出番は次の総裁選にあるのではないか。さらには党内の長老グループが一致して谷垣氏を推そうとしているのも気になる。本当に捨て石にしてしまうつもりなのだろうか。
六十四歳という年齢から、谷垣氏は今度の総裁選は最後のチャンスと考えているのかもしれない。しかし、ここはむしろ党内の中堅・若手から新総裁を選び、民主党と一戦を交える方が得策ではないか。若手なら再起のチャンスがあるし、来年なら谷垣氏もまだ六十五歳。チャンスは十分にある。
<自民党の谷垣禎一元財務相(64)=京都5区=は13日午後、18日告示-28日投開票の党総裁選について、「自民党結党以来の衆院選大敗北を受けて、誰かが捨て石にならなければならない。自分が捨て石になって党の再生を果たす決意を固めた」と述べ、出馬の意向を表明した。都内で記者団に語った。今回の総裁選に立候補の意思を表明したのは同氏が初めて。
谷垣氏はまた「自民党を長い間支えてくれた良質の保守層の期待に応える政治をしていかなければならない」とも述べ、結党の原点に立ち返り党改革に取り組んでいく決意を強調した。
党内には河野太郎衆院議員(46)石破茂農水相(52)を擁立する動きがあり、候補擁立に向けた駆け引きが本格化しそうだ。
谷垣氏は昭和58年の衆院補選で初当選。科学技術庁長官、財務相、国土交通相のほか、党政調会長などを務めた。財務相時代は現在の与謝野馨財務相とともに財政規律派として消費税率引き上げを訴えていた。
麻生太郎首相、福田康夫前首相、安倍晋三元首相とともに「ポスト小泉」の一人に挙げられたが、平成18年の総裁選に出馬して最下位に終わった。(産経)>
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