鳩山新内閣の人事で国民新党の亀井静香代表を防衛相に起用する案が永田町を駆け巡ったが一夜で消えた。亀井氏は防衛相の打診そのものを否定している。しかし亀井氏の周辺は鳩山氏から非公式な打診があったことを認め、亀井氏もその気になったという。
インド洋での給油活動など自衛隊の海外派遣には慎重な亀井氏の防衛相起用は、米国に懸念を与えることになりかねない。訪米を控えた鳩山氏周辺から「再検討が必要」と慎重論が出た。外務、防衛省内から日米関係悪化を懸念する声もあった。
結局は亀井郵政・金融担当相で落着し、幻の亀井防衛相で終わった。亀井氏は「何なのかね、米国が震え上がったのかね」と軽口を叩いて報道陣を煙に巻いたのだが・・・。
<16日に発足する鳩山新内閣の閣僚人事で国民新党の亀井静香代表を防衛相に起用する案が14日に浮上し、一夜にして消えた。民主党の鳩山由紀夫代表側から非公式に打診を受けていたとみられるが、亀井氏は15日になって打診自体を否定。「亀井防衛相」案は一時、驚きと懸念を伴って永田町・霞が関を駆け巡った。
「私は『自由にやってください。任せます』と言って以来、鳩山さんとは一度も話してない。何なのかね、米国が震え上がったのかね」。亀井氏は15日夕、郵政・金融担当相内定を受けて党本部で開いた会見で、報道陣をけむに巻いた。
鳩山氏サイドは14日の時点で防衛相に亀井氏を充てる方向で調整しており、周辺は「国民新党は社民党と違って保守だから受ける」と自信を示していた。社民党とはズレの大きい外交・安全保障政策を巡り、連立政権内の調整役を果たすことを期待したとみられる。
しかし、防衛相は、在日米軍再編問題や海上自衛隊によるインド洋での給油活動など、日米同盟に絡む懸案を抱える重要ポスト。国民新党の下地幹郎政審会長は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画見直しを強く主張しているほか、亀井氏自身も自衛隊の海外派遣には慎重とみられ、亀井氏が防衛相に就任した場合の日米関係悪化を懸念する声も民主党内や外務、防衛省内から出ていた。
そのため、亀井氏の防衛相起用については一転、「再検討が必要」(鳩山氏周辺)な状況になったという。党関係者は「米側から否定的な反応が示されたのではないか」とも指摘している。
防衛省幹部の一人は「民主党政権にとって、インド洋の給油活動や米軍再編問題を抱える防衛省はアキレスけん。そこを亀井さんに託しても難しいと思っていた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。一方、別の幹部は亀井氏の「腕力」に対する期待感もあったことをうかがわせた。(毎日)>
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