4014 核拡散しない約束を金正日総書記から取り付ける 古沢襄

米国、中国それに韓国が組んで新しい北朝鮮政策を模索している感じがする。本来なら、そこに拉致問題の解決を迫る日本が入っていなければならないが、加わっていない。北朝鮮核でもっとも脅威をうけるのは日本と韓国である。
露骨な日本外しと極論するつもりはないが、日本は北朝鮮核の全廃を求め、拉致問題の全面的な解決を求める立場にある。米国は北朝鮮核の現状を容認し、それがテロリストの手に拡散しない約束を金正日総書記から取り付ける現実外交にカーブを切る腹ではないか。
来日したカート・キャンベル米国務次官補(東アジア太平洋担当)は、東京での記者懇談で金正日総書記と中国の戴秉国国務委員(外交担当)と会談について、「北朝鮮がいくつかの条件を受け入れるという点を強調したようだ」と話している。
さらに「最近数ヵ月間にあった重要な進展は、6者協議を対北朝鮮交渉の核心要素として維持すると決めたことだ」とも言っている。明らかに北朝鮮交渉が進展していることを示唆している。
だが具体的内容になると「金総書記の発言の関連報道を見ておらず、発言を正確に理解していない状態だ」と逃げている。その一方でイアン・ケリー米国務省報道官は「中国から訪朝結果に関する説明を受けた後に、正確な意味が把握できるだろう」と、これも言葉を濁している。
まるで奥歯にものが挟まった様な米国の態度である。
基本的には拉致問題は日朝二国間で解決する問題だと考えているのではないか。ブッシュ政権時代に比べると後退している。国際世論を背景にして北朝鮮に拉致問題の解決を迫る日本の外交戦略に暗雲が立ちこめていると言っていい。北朝鮮核に対して米国が一歩、身をひけば日本は丸裸で当たらねばならなくなる。
日米関係は明らかに小泉・ブッシュ蜜月時代から、後退し変質している。円熟した日米関係というのは嘘に等しい。むしろ、もっとも冷え込んだ日米関係にある。
訪米した鳩山首相はオバマ米大統領との会談で、美辞麗句のエールの交換に満足しないで、米国の腹の底を探ることが必要ではないか。
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