4029 「鳩山政権」に国家戦略はあるか 花岡信昭

「綱領」を持たない民主党
民主党を中心とした「鳩山政権」が16日にも発足する。国民の審判の結果だからこの歴史的政権交代も尊重しなければならないが、危惧されるのはやはり政権担当能力があるかどうかだ。「脱官僚依存」の象徴として新設される国家戦略局は菅直人氏が副総理として担当する。これがいったいどこまで権限を持っているのか、法的裏付けもないのだからまったく分からない。
さらに、新政権にはそもそも国家戦略があるのかどうか。その最も重要なポイントが、いかにも不透明だ。旧社会党から自民党まで幅広い政治勢力の「寄せ集め政党」であるため、民主党には政党に不可欠の「綱領」がない。これも国家戦略を欠いた政党であることを示している。
「小沢幹事長」はどう動く
総選挙の圧勝はいうまでもなく小沢一郎氏の采配が功を奏したためだ。4年前の「小泉劇場型選挙」とまったく同じ体質の「単一争点」「ワンフレーズ・ポリティクス」で臨んだ。「生活第一」を掲げ、「政権交代」のキャッチフレーズで国民を酔わせた。「郵政民営化」「自民党をぶっ壊す」で大勝した小泉総選挙の裏返しだ。幹事長となる小沢氏がこれまで以上の強権を発動することになる。
「政策は内閣にまかせる」という小沢氏だが、鳩山新首相としては、人事も政策も小沢氏の意に反したことなど、できようがない。これまでも大政局を切り盛りしてきた小沢氏のことだから、「次」になにを狙っているか。「左派切り捨ての大連立」の予測が早くも出ている。
対米関係に懸念
新政権がまず直面するのが対米関係だ。自衛隊の海外派遣反対、日米地位協定見直し、沖縄米軍基地の整理縮小、非核3原則の法制化などを掲げる鳩山氏だが、米側は日米関係の今後に重大な懸念を抱いているとされる。逆に中国は新政権を歓迎している。日米基軸という外交・安保政策の基本をどこまで貫けるか。本来は憲法改正論者である鳩山氏だが、左派に配慮して憲法問題は封印してしまったようだ。
これも、米側の不信感を高める要因となっている。大敗北を喫した自民党は態勢を立て直せば、鳩山氏の「故人献金」、小沢氏の「天の声」問題などスキャンダルを徹底追及していくだろう。これにどう対応するか、民主党としてはいつまでも政権交代の美酒に酔ってはいられない。
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