4030 小沢一郎をめぐる七不思議 古沢襄

政治の関心はニューヨークに移っている。気の毒だが自民党の総裁選は蚊帳の外。三人の総裁候補もジタバタしない方がいい。野党の悲哀をたっぷり味わう日が来ている。三ヶ月や四ヶ月で政権を奪還しようなんて夢を持たない方がいい。民主党は十五年間も野党の悲哀を味わってきた。
負け犬の自民党に対して、回りから「若返りが急務」とか「派閥の長老は退陣せよ」などと石が投げつけられている。水に落ちた犬は叩け、とばかりの世間の風の冷たさは、ひときわ身にしみるだろう。石は投げないが、私もリベラルの谷垣さんたちでは、民主党との違いが見えないな、とため息をつきたくなる。
小沢一郎さんの自由党が解党して、民主党に参加した裏幕を西村眞悟氏が回顧している。その前に自由党は自民党との連立政権を解消した。小渕政権の末期のことである。自・自連立解消から自由党解党→民主党参加が、今の民主党政権の路線を見極める上で重要である。
西村氏は「自・自連立解消後(小沢さんは)今度は週一回の割りあいで、土井たか子さんの社民党幹部と会食を重ねるようになった。」と述べている。つまり小沢氏は自由党解党の時点で、保守路線から中道左派路線にカーブを切る模索をしていたとみていい。保守右派の西村眞悟氏が遠ざけられたわけである。
民主党にきた小沢氏はしばらく雌伏している。民主党の新党さきがけ系には、田中角栄氏の愛弟子・小沢一郎というイメージや反発があった。ところが旧社会党系は小沢氏をすんなり受け入れている。小沢氏と旧社会党系はかなり近い関係になっていた。
そして今や、社民党までが小沢氏にすり寄ってきた。”小沢一郎をめぐる七不思議”のひとつだが、小沢氏の目指すものが、英労働党をモデルとした中道左派路線とみれば説明がつく。
そうなると参院選後、社民党を斬り、場合によって自民党との部分連合を組むという話は怪しくなる。自民党の片思いということになりかねない。自民党がリベラル色を振りまいても相手にされないのではないか。
田中角栄氏の愛弟子・小沢氏が中道左派路線を選択したとなれば驚天動地と言わねばならぬ。だが現実には民主党は左派政権としての色合いを深めている。自民党が中途半端なリベラル路線を打ち出しても、小沢氏の中道左派路線に呑み込まれてしまうのではないか。
呑み込まれないための自民党の戦術・戦略はひとつしかない。たとえ少数になろうとも保守右派(新保守主義ではない)の勢力を結集して旗幟を鮮明にすることではないか。平沼赳夫氏らとの統一会派・復党も進める必要がある。その過程で党内のリベラル派が逃げ出すことになっても仕方ない。
中道左派の政党が巨大化すれば、党内の路線対立が激化するのは歴史が教えてくれている。英労働党内でも左派と中道右派が激しく対立した。理論を持たない保守政党と違って、左派政党には理論闘争がつきものである。自民党はそれまで保守政党としての姿を整えるのが先決ではないか、左にすり寄るのはやめた方がいい。
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