ニューヨークの国際祭りが終わって、帰国する鳩山首相は11月のオバマ米大統領の来日までにアフガン貢献の具体策を作らねばならない。
インド洋から海上自衛隊を撤退させる方針の民主党は代替策にアフガニスタン兵士の職業訓練や農業協力などの非軍事支援を考えている。とはいうもの具体策があるわけでない。これから考えることになるが、治安が極端に悪化しているアフガン本土で職業訓練や農業協力をするのは容易ではない。
米国がインド洋の給油継続を望んでいるのは確かだし、岡田外相と会談したミリバンド英外相やパキスタンのクレシ外相は、給油の継続を要請した。時事通信が指摘するように日本国内にも「安全、安上がりで、各国から感謝されている給油支援をやめてしまうのは惜しい」(中東外交筋)との意見がある。
だが民主党はマニフェストで撤退をうたった以上、来年1月に海上自衛隊によるインド洋の給油支援を打ち切る方針を変えていない。名案があるのだろうか。マニフェストにとらわれて自縄自縛になっているのではないか。
<【ニューヨーク時事】鳩山由紀夫首相は23日、オバマ米大統領との初の首脳会談で、来年1月に海上自衛隊によるインド洋の給油支援を打ち切る方針に絡んで焦点となっている代替策について、アフガニスタン兵士の職業訓練など民生支援を積極的に実施したいと提案した。対テロの国際協調の輪から外れず、かつ米国も満足させる。そんな重い宿題を背負った首相は、11月の同大統領来日をめどに支援の具体化を急ぐ。
「アフガンにとって最善の支援を日本の得意分野で貢献したい」-。首相はオバマ大統領に対し、職業訓練や農業協力などの非軍事支援を列挙し、海自の給油から軸足を移す考えを暗に伝えた。大統領は「大変ありがたい」と短く謝意を述べるにとどめた。米側が何らかの要求を突き付ければ、同盟関係に亀裂が入りかねないため、今後の日本の検討を見守る姿勢を取ったようだ。
しかし、この後に岡田克也外相と会談したパキスタンのクレシ外相は「鳩山政権でも支援を継続してほしい」と要請。22日のミリバンド英外相に続き、海自からの補給の必要性を訴えた。日本国内にも「安全、安上がりで、各国から感謝されている給油支援をやめてしまうのは惜しい」(中東外交筋)との意見がある。
ただ、民主党は給油活動に一貫して反対し、衆院選時から「単純延長しない」と繰り返してきた。これを覆して継続に転じることは来年の参院選を控え、政治的リスクを伴う。一方、治安状況の厳しいアフガン本土への自衛隊派遣も非現実的だ。残された選択肢の中で、「平和外交」をアピールしたい鳩山政権が目を付けたのが職業訓練などの民生分野だが、同盟国の米国をはじめ各国から給油に匹敵する評価を得られるかは不透明。支援の内容もほとんど詰めていないのが実情だ。
11月のオバマ大統領に先立ち、10月にはゲーツ国防長官の訪日も予定される。アフガン支援の具体化作業は時間との戦いとなりそうだ。(時事)>
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