ミサイル発射は北朝鮮の専売特許の観があったが、今度はイランが発射実験を繰り返している。イランのミサイルは北朝鮮のノドン・ミサイルを基にして開発したという「シャハブ3」。また「セジル」ミサイルも所有している。
「シャハブ3」も「セジル」も射程2000キロといわれ、イスラエルを射程距離内に納めている。今回、イランの革命防衛隊が実施したミサイル発射は、イスラエルに対する示威行為だという見方がもっぱらである。
イラン国営テレビによると、革命防衛隊が行った「大規模なミサイル演習」は、射程距離300ー700キロの「シャハブ1」と「シャハブ2」を連射、さらに「シャハブ3」と見られる射程の長いミサイルを発射したと報じている。
北朝鮮の核実験、ミサイル連射に対しては中国が説得役を務めているが、イランに対してはロシアがその役割を担ってきた。27日にイランがミサイル連射をすると、ロシア外務省が素早く反応して「国際社会は感情にまかせて行動すべきではない。われわれは冷静になるよう努めるべきだ」と述べた。
ここでいう国際社会とは米国とイスラエルを指すことは言うまでもない。
10月1日からジュネーブで国連安保理常任理事国(米・英・仏・露・中)にドイツを加え、イラン核問題を巡ってイランと協議する日程を控えている。それだけに各国が過剰な反応をしないようロシア外務省がブレーキをかけたといえる。
イランにしてみれば、ジュネーブ会議で不利な条件を突きつけられない様にミサイル攻撃能力を誇示したといえよう。形は違うが北東アジアにおける北朝鮮の瀬戸際外交と同種のやり方が、中東のイランでも行っている。その模様をテヘラン共同が伝えてきている。
イスラエルは不気味な沈黙を守っている。
[モスクワ 28日 ロイター] ロシアはイランによるミサイル発射への対応で国際社会に自制を求めている。インタファクス通信が28日、外務省筋の話として伝えた。
同筋は「今は感情にまかせて行動すべきではない。われわれは冷静になるよう努めるべきであり、(イランとの)生産的な交渉プロセスを開始することが肝要だ」と述べた。(ロイター)>
<【テヘラン共同】イラン国営プレスTVは28日、同国革命防衛隊がイスラエルを射程に収める最新型の中距離弾道ミサイル「シャハブ3」と「セジル」を試射、いずれも成功したと報じた。イランの核兵器開発を疑い核施設への攻撃も辞さない構えのイスラエルに対し、報復能力があることを誇示するのが狙いとみられる。
イランで国内2カ所目のウラン濃縮施設の存在が明らかになったばかりで、10月1日の核交渉を控え、濃縮活動停止を求める欧米は非難の声を強めており、試射実施で核開発への国際的懸念がさらに強まるのは必至だ。
シャハブ3は2003年に配備され、形状などから北朝鮮の「ノドン」を基に製造したとの見方が強い。最新型についてイラン側は、射程が2千キロまで延びたと主張。セジルも最新のものは同程度の射程とされ、この二つがイランの主力ミサイルだ。
プレスTVは発射の様子を繰り返し放映。革命防衛隊幹部は「ミサイルは目標に命中した」と述べた。
革命防衛隊は27日に演習を開始し、中距離ミサイル「シャハブ2」などを試射。イラン外務省は「恒例の演習だ」と説明、濃縮施設をめぐり緊張が高まっていることとは関連がないと述べた。(共同)>
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
コメント