4085 中国の杜撰な文化事業 宮崎正弘

中国が独自の企業で文化、娯楽産業を拡大するそうです。中国版ディズニー、ワーナー、バイアコムを狙う上海メディア集団。
米国の獅子吼する「ソフトパワー」とやらに刺激を受け、すっかり魅了されたのか、中国が娯楽・文化産業を、自らの手で育成拡大してゆく方針が、先週決定したという(ヘラルドトリビューン、10月5日付け)。
文化の領域で企業を育成するために国家予算をつけ、現在の共産党の政治宣伝一色のメディア規制も一部緩和する動きがある。
しかし海賊版と日本のアニメ猿まねしか芸のなかった中国の娯楽産業。
香港につづいて上海にもディズニーランドを開園するというが、本気なのか? 北京郊外・居庸関ちかくに建設途中の海賊版遊園地が工事途中で放置されている残骸を先週、みた。遠くからみると巨大なラブホテル群にも見えた。
香港のディズニーランドが予想外に不振なのは、規模が小さくてアトラクションがすくなく、それでいて東京ディズニーランド並みの料金をふんだくるからである。三年前にわざわざ取材に行ったが客足も疎らで、えっと衝撃を受けた。
中国最大のメディア企業は、「上海メディア集団」というが、この会社が目標とするのは米国のディズニーランド、ニューズコープ、バイアコム、そしてワーナーである。
いずれもが新しいメディアと融合し、映画、娯楽、ニュース、音楽、スポーツ番組でつぎつぎとヒットを飛ばし、企業利益をあげてきた。
言論の自由がなく、言論が統率され、操作され、透明性がない国で不可能なことに挑むのが上海メディア集団だが、米国娯楽産業成功のひそみに倣って「文化」に打って出る。果たして結果は?
▲文化産業は蓄積されたソフトがないと難しいのだが。。。。
ソフトパワーの領域に政策的拡大がみられるのは、北京にある孔子廟に行ったときに実感した。二年前に行った折は孔子廟と隣の国子監は門が別、管理者もばらばらで、一応の重要文化財とはいえ、マネージは杜撰、入場料はたしか三元とか五元だった。付近の住民は無料でふらりと立ち入っていた。
これが世界中に「孔子学院」を解説するという大外交方針転換と平行して、孔子廟と国子監とが連結し、入場料もあげたばかりか、内部をみてたいそう驚かされた。
征服を着た職員らは増員され、「公務員」となって、しかも多人数がぶらぶらしている。
内部掃除、おみくじ売りなど管理もマナーもなんだか官僚的となり、これまで孔子廟には庭園に受験勉強にきていた学生の姿が見られなくなった(それもそうだ、毎日十元の入場料を支払って勉強にくる学生はいないって)。
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