世銀、IMFイスタンブール主要会議で、またまた中国が改革を揚言。出資シェアを変更し、中国の発言力強化を露骨に要求した。
九月のピッツバーグG20はIMF出資比率の見直しで合意した。
中国は「2010年1月のソウルG20までに」と主張した。世界のマスコミは中国経済の飛躍を報道し、さらに十月一日の国慶節軍事パレードを目撃してからは、中国経済の安定的成長を追認するかたちとなっている。一部には「G7は役割をおえた。今後はG20がG7を代替する」という声も挙がった。
IMFの出資比率は、米国、日本とつづき、日本は1992年以来、第二位の位置にある。こんかいのイスタンブールIMF会議では、「2011年1月までに見直し」が合意された。中国人民銀行の副総裁・易網が主張した。「新興国の経済力が伸びており、現在のシェアは不合理である」と易副総裁はいった。
だが同時に易副総裁は欧米から強く要求されている人民元の為替レート切り上げに関して、「2005年7月1日以来、中国は米ドルペッグ制を廃止し、管理された変動相場に移行しており、現在の為替制度を今後も続けることが安定に繋がる」として一歩も譲らなかった。
SDR改革が中国のおもなねらい目で、ドル優位をSDRに置き換え、この通貨バスケット(現行はドル、ユーロが各44%、ポンドと日本円が各11%)に人民元を加えろ、という主張である。
すでに中国の代理人のように発言するロバート・マンデル教授(99年度ノーベル賞)は、「20年以内に人民元が世界主要通貨となり、決済の10%を占めるようになるだろう」と発言している。
中国の公式目標は「2011年までにSDRの3%、2011年までに10%」。2011年7月1日は辛亥革命百周年。
もし、このシェア通りに進むと、ユーロと米ドルは立場を譲らないだろうから、日本円のシェアが食い散らされることになる。
▲中国は等身大の二倍ほどの虚勢をはっていないか?
しかしながら欧米保守系メディアの多くは、この予測に懐疑的で、その論拠は(1)中国には債券市場が育っていない、(2)金融システムが西側と決定的に異なっている、(3)中国へ自由な投資が出来ない、(4)通貨レートが人為的に安く操作されている、などの理由を挙げ、中国通貨がドルやユーロと並ぶ主要通貨の位置を占めるにはまだまだ時間がかかると分析している。
だが、私見を言うとすれば、もっと決定的な理由がある。それは人民元の偽札対策の遅れである。
いまでも地下経済で決済される多くは偽札、全体に流通する偽札が通貨発行量の20%と見積もられる上、高額紙幣がないこと。
つまり日本円でいう一万円札どころか五千円札もない。現在の最高額人民元紙幣は百元(1400円)。持ち歩くに不便だが、五百元札、一千元札を発行しないのは偽札が出回ると対策をたちどころに講じられないからである。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
コメント