4099 懸案の「新鴨緑江大橋」建設で合意 古沢襄

中国の温家宝首相が訪朝に当たって持参した対北援助額は、韓国の朝鮮日報によれば二億ドル規模、同じ中央日報が伝えた2000ドル規模の十倍に相当する。北京の特派員が過去のデータに照らして下した推定の数字だから、実際のところは分からない。
その中で中国側が工事費用を負担する「新鴨緑江大橋」の建設が含まれているのは注目に値する。数年前から中国側が鴨緑江大橋以外に新鴨緑江大橋の建設を北朝鮮に働きかけていた。しかし北朝鮮軍部から「中朝間で有事の際には中国軍の進入ルートになる」と猛反対があって日の目をみないでいた。
北朝鮮が新鴨緑江大橋の建設に同意したのは、鴨緑江河口の「緋緞島自由貿易地帯プロジェクト」の基盤施設となり、観光分野の協力協定で中国人観光客が増えると朝鮮日報が報じているが、軍部強硬派が押さえ込まれたのであろうか。そのあたりが定かでない。
<中国の温家宝首相は、今回の訪朝に少なからぬ手土産を持参した。公表されているものだけで2億ドル(約177億円)を超える。無償経済援助、技術・教育分野の支援協定、観光事業関連の協定、中国側の費用負担を前提とする新鴨緑江大橋の建設などが含まれる。
北朝鮮にとって切実な石油・食糧の無償援助は5000万ドル(約44億円)以上の規模とみられる。2003年に呉邦国・全国人民代表大会常務委員長が訪朝した際の支援規模は5000万ドルだった。このため、中国国内の専門家は、中朝の血盟関係修復と6カ国協議への復帰を目標に掲げた今回の訪朝による無償援助はそれを上回る額だったとみている。
中国側が1億5000万ドル(約133億円)の工事費用を負担する新鴨緑江大橋の建設も、北朝鮮が2002年に断念した「新義州特区」の夢を再び描けるカードだ。中国は数年前から年間27億ドル(約2400億円)に達する両国間の貿易規模に合わせ、既存の鴨緑江大橋以外に新鴨緑江大橋を建設しようと主張してきた。しかし、北朝鮮は有事の際に中国軍の進入ルートになるとして反対した。
北朝鮮が方針を転換し、新鴨緑江大橋の建設に同意したのは、この橋は2006年から北朝鮮が推進している鴨緑江河口の「緋緞島自由貿易地帯プロジェクト」の基盤施設となるからだ。新鴨緑江大橋は緋緞島を通る。北朝鮮はまた、観光分野の協力協定で中国人観光客の北朝鮮観光拡大に道を開いた。
中国は経済分野だけでなく、安全保障分野でも「誠意」を示した。北朝鮮は2000年以降、韓米同盟に準じる安全保障支援を行うよう、中国に求めてきた。温首相は今回、平壌の東100キロの平安南道桧倉郡にある中国人民志願軍烈士廟(びょう)を参拝し、有事の際には安全保障支援を行う意思を示した。そして、韓国戦争(朝鮮戦争)当時に240万人の中国軍が参戦した事実を思い出させた。(朝鮮日報)>
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