鳩山政権には普天間移設の再交渉にオバマ政権が応じてくれるという淡い期待がある。このためにはオバマ・鳩山間の人間関係を構築することが先決というのが鳩山首相の基本的な姿勢だ。だが鳩山政権の本質を見極めてきた米国は、2006年の合意に基づく現行計画について「再交渉するつもりはない」と極めて厳しい態度に固まった。
このままオバマ大統領の訪日を迎えれば、日本政府はさきのオバマ・鳩山会談とは違う米側の厳しい態度に直面するであろう。その推移によっては、鳩山政権が掲げた”日米関係が基軸”という路線の変更を余儀なくされる。
日米関係が悪化すれば、日米軍事同盟にも深刻な影響を与える。その厳しさについて、鳩山民主党政権は鈍感である。中国や北朝鮮という強かな相手を前にして”友愛精神”にすがる危うさに気がついていない。
<【ワシントン共同】在日米軍再編の焦点となる米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、米政府が5日の日米局長級会談で、2006年の合意に基づく現行計画について「再交渉するつもりはない」と見直しの可能性を否定していたことが9日、分かった。鳩山政権や沖縄県内に高まる県外や国外移設実現への期待感を警戒、くぎを刺したとみられる。
日米関係筋が明らかにした。局長級会談は今月20日のゲーツ国防長官訪日をにらんだ準備作業の一環で、ゲーツ氏も日米合意順守を再確認する見通し。オバマ政権が信頼醸成を優先した9月の日米の首脳・外相会談から一転し、厳しい対応にかじを切る可能性が出てきた。
ワシントンの国務省内で開かれた局長級会談では海上自衛隊による給油活動の撤収やアフガニスタン支援策、航空自衛隊の次期主力戦闘機選定、核抑止問題など幅広いテーマを協議。この中で在日米軍再編に関して米側は「日本側の話には耳を傾けるが、日米合意の実現が基本だ。再交渉するつもりはない」と語った。合意はキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)に移設する内容だが、民主党は衆院選の際、米軍再編などの「見直し」を掲げた。
別の日米関係筋は「信頼醸成のための外交辞令を拡大解釈するのは間違いだ」と指摘。民主党の一部に代案として浮上する普天間基地と嘉手納基地の統合案も「非常に困難」との見解を示した。
局長級会談には日本側から外務省の梅本和義北米局長と防衛省の高見沢将林防衛政策局長、米側からキャンベル国務次官補とグレグソン国防次官補が参加した。(共同)>
在日米軍再編(2009年8月22日)
冷戦終結や米中枢同時テロを受けた世界規模の米軍合理化策の一環。日米両政府が2006年5月に合意した米軍再編行程表は、在沖縄海兵隊員のグアム移転と沖縄県の普天間飛行場の同県沿岸部への移設を14年までに完了することが柱。米陸軍第1軍団司令部のキャンプ座間(神奈川県)への改編・移転、米空母艦載機の厚木基地(神奈川県)から岩国基地(山口県)への移転も含む。今年2月には日米両外相が在沖縄海兵隊のグアム移転を14年末までに完了させると確認した移転協定に署名した。(ワシントン共同)
米軍再編(2006年10月3日)冷戦終結や米中枢同時テロ後の安全保障環境の変化に伴う米軍の世界的再編で、在日米軍再編もこの一環に位置付けられる。ミサイル防衛(MD)導入や軍事技術の革新を受け、戦力配備を刷新、機動性や迅速さを重視した展開能力の構築を目指している。国防総省が今年2月に公表した「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」では台頭する中国への警戒感を鮮明にし、潜水艦の6割を太平洋に配備するなど、大西洋からの戦力シフトを打ち出した。(共同)
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4110 米、普天間移設の再交渉否定 鳩山政権の期待にくぎ刺す 古沢襄

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