4157 米国外しの”日中同盟”への第一歩? 古沢襄

鳩山首相が提唱した「東アジア共同体」は、英米筋からは米国外しの”日中同盟”への第一歩と受け止められている。10月5日の英紙デイリー・テレグラフは「日中が同盟を検討し始めた」と題した記事で、100年前に明治政府が中国軍を打ち負かして以来、敵対関係にあった日本と中国が同盟を結ぶ準備を始めたと報じた。
これに呼応してキャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は訪問先の北京で、「アジアにおける主導的な枠組みは確定していない。いずれにしろ米国をカヤの外に置くべきではない」と反発している。
英米筋が懸念しているのは、世界第二位と第三位の経済体である日本と中国が同盟を結べば、世界最強の経済体になることだ。
とくに岡田外相が「東アジア共同体」の参加国について、「日本、中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)、インド、オーストラリア、ニュージーランドで考えている。米国は加えない」と述べたことで、英米筋の懸念が増幅されている。
実際には「東アジア共同体」の具体的な内容は明らかにされていない。またEUと似た連合体をアジアで構築する難しさを指摘する向きもある。生煮えのまま思いつきで鳩山首相や岡田外相がアドバルーンをあげたと危惧する声が日本国内にも出ている。
鳩山首相はオバマ米大統領との首脳会談で「日米関係が同盟の礎石」と述べている。その一方で岡田外相が「東アジア共同体」には、米国は加えないと言明した整合性は、どこにあるのか。
クリントン米国務長官が「東南アジア友好協力条約(TAC)」に署名し、東南アジア地域とのかかわりを深める姿勢を見せた矢先だけに、日本は十分な説明を米側に伝える必要がある。
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