4176 世界のマスコミはイラクからカブールへ移動中 宮崎正弘

世界一治安の悪いカブールに世界史に影響するニュースがいっぱい。
▲メディア・リセッションを越えて
カブールに自費で支局を開設し、アフガニスタン戦争を報道してきたのは2001年11月にカブールに拠点をつくったニューヨークタイムズだけだった。特派記者は二回、タリバンに誘拐され、助手は射殺され、つねに誘拐の危機と隣り合わせの状況から記事を送った。
ワシントンポストもロスアンジェルスタイムズも現地の通信員を雇用し、ニュースをカバーしてきた。デジタル通信員が主力だった。NBC,CBS,FOXテレビなどはカブールのテレビ局とパキスタンのテレビのフィルムを買って報じてきた。
08年、全米のニュースの洪水の中でアフガニスタンに関するものは1%以下だった。主因は国民の関心の度合いもさりながら、費用である。海外支局は膨大な予算を必要とするが、米国の景気後退がメディアに対して、むしろ人員削減を要求してきた。
イラクが安定し、バグダッドに駐留した米軍の段階的撤退が開始され、ニュースの焦点は10万人の米兵とNATOが駐留するアフガニスタンへと移る。
オバマ政権は間もなく四万の増派を決定する方向にある。オバマは懸案のヘルスケアを議会で通過させる取引材料に、増派決定を引き延ばし、一方でゲーツ国防長官と日本とNATOに派遣してさらなる協力を要請し、他方ではケリー上院議員らをアフガニスタンへ派遣して現地調査をさせている。
▲ベールを巻いて金髪女性記者がカブールから中継を開始した
アフガニスタンの大統領選挙は不正投票が各地で発覚し、カルザイの当選はまだ確定しないばかりか、米国はやり直しを要請する姿勢になり、これも増派決定を決定的に遅延させている。
報道に依ればカルザイの得票は過半に達せず、不正投票の七割が対立候補のアブドラ(元アフガニスタン外相)に回っていたという。ベールを巻いた美人記者がカブール現場からのテレビ中継に出演するようになった。CBSニュースである。
NBC、FOX、CBSが一斉にカブールに支局を開設し、「いま、カブールはイラク戦争のピークだった2003年の状況。『カブール2009』と呼ぼう」(ヘラルドトリビューン、10月20日付け)。CNNも間もなく本格支局を立ち上げるという。
米国のメディアばかりではない。大軍を送り込んでいる英国、ドイツもジャーナリストを派遣し、カブールは報道合戦の拠点化。米国では過去数年来カブールからの報道がトップニュースになりつつある。
ところで日本のアフガニスタン報道?
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