さながらゲーツ旋風に見舞われた日本ということであろう。21日、北沢防衛相と会談したゲーツ米国防長官は、米軍普天間飛行場の移設について、「(日米合意が実施されなければ)沖縄米海兵隊のグアム移転はないし、兵員縮小や土地の返還もない」と釘を差した。
またインド洋での給油活動に代わるアフガニスタン支援策で、北沢防衛相は陸上自衛隊の活用(すなわち派遣)の可能性を、事務方に検討を指示したと記者会見で言わざるを得なかった。
ゲーツ米国防長官は「アフガン国軍と警察の拡大・維持に、大国に値する日本の貢献を期待している」。日本はインド洋での給油活動に代わりに、高い買い物をすることになりかねない。インド洋での給油活動継続が一番安全で、一番安上がりなのを鳩山政権は気がついていない。
あまり報道されていないが、岡田外相と会談した20日夜、防衛省はゲーツ米国防長官を囲むパーテイを持ちかけたが、にべなく断られた。米側の厳しい態度を、最初から見誤っていた鳩山政権の情報の甘さを浮き彫りにしたゲーツ米国防長官の来日であった。
<北沢俊美防衛相は21日午前、来日中のゲーツ米国防長官と防衛省で会談した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設について、ゲーツ長官は会談後の共同記者会見で、「普天間の代替施設なしに米海兵隊のグアム移転はないし、兵員縮小や土地の返還もない」と述べ、現行計画の着実な履行を要求。北沢防衛相は「日米両国にとって、あまり時間をかけることは建設的ではない」と述べ、早期解決に努力する考えを表明した。
ゲーツ長官は、2006年の在日米軍再編合意について「全員にとっていい案であり、(普天間移設という)一部分だけ取り出すのは複雑で生産的ではない」と指摘。その一方で、代替施設の沖合移動については、「滑走路の位置を数十メートル変えるのは、沖縄と県民と日本政府の問題だ」と述べ、微修正は容認する考えを示した。
また、ゲーツ長官は会談で、過去の日米協議でも浮上した米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)への統合案について「運用上の理由から難しい」との見解を示した。
インド洋での給油活動に代わるアフガニスタン支援策に関し、北沢防衛相は会見で「民生支援だけで堪えられるか難しいとの認識はある」と指摘。自衛隊活用の可能性について、事務方に検討を指示したことを明らかにした。ゲーツ長官は「アフガン国軍と警察の拡大・維持に、大国に値する日本の貢献を期待している」と述べ、アフガンの治安維持のため財政支援などの強化を求めた。
これに先立ち、鳩山由紀夫首相はゲーツ長官と首相官邸で会談。首相は、普天間移設について「日米の諸課題は双方じっくり真剣に考えていかなければならない」と伝え、時間をかけて最終的な方針を決める意向を示した。ゲーツ長官は「日米で合意したことは重い。双方がしっかり守っていく」と強調した。
また、首相は11月のオバマ大統領の初来日を控え、「(日本の)新しい政権も日米同盟を大切にしたいと考えている。来年は日米安保(改定)50周年だ。これを契機に関係をさらに発展させたい」と述べた。(時事)>
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