4191 斉藤次郎という人 阿比留瑠比

日本郵政の社長に元大蔵事務次官の斎藤次郎氏が内定しました。小泉元首相の民営化路線の象徴であるこの会社に、よりによって「官僚の中の官僚」、大蔵省の元トップを充てる人事には、郵政国営化でも狙っているのか?との印象すら受けました。
この人は、国民福祉税構想で民主党の小沢一郎幹事長と組んだ「懐刀」としても有名であり、小沢氏も本当に好き放題やっているなとも。
ただ、若い人には「斎藤次郎氏」と言われても知らないか、覚えていない方もいるでしょうね。そこで本日は、過去の新聞記事でこの斎藤氏がどう描かれているのかをいくつか見繕って紹介しようと思います。
《各省庁が予算を概算要求する際の基準となるシーリングの設定や1980年代以降の財政再建の柱となった財政システムを構築したのもこの人。》(平成5年6月23日付産経新聞)
《経済大国づくりの大きな力となった官僚組織。強大過ぎる権限への批判、反発は内外で強まる一歩だが、「官僚が法律をつくり、国会を通すことで国民の支持を得る。それも民主主義。大きな意味で、これまでやってきたことは間違っていない」。》(平成5年6月26日付東京新聞)
《減税食い逃げを警戒し昨年末、首相官邸に乗り込み「もし財源の担保なしに減税だけをするなら(予算編成を)サボタージュする」と恫喝、減税と消費税アップの一体処理を求めている。
これには(細川護煕)首相、日本新党の会合で「連立政権は8頭立ての馬車だと思っていたら、9頭立てだった」とこぼした。9頭目は、もちろん大蔵省(イコール斎藤氏)だ》(平成6年2月10日付夕刊フジ)
《「(心当たりは)まったくありません」。斎藤次郎大蔵事務次官は21日の記者会見で、細川護煕首相が20日夜に武村正義官房長官と鳩山由紀夫副長官との会食で国民福祉税騒動を振り返り「大蔵省に利用された」と述べたことについて、苦笑しつつ否定、一瞬、怒りの表情さえ浮かべた》(平成6年4月22日付朝日新聞)
《「(大蔵省OBの政府機関への天下り批判は)法的には内閣総理大臣が批判を受けることです」。大蔵省の斎藤次郎事務次官は16日の記者会見でこうした考え方を示し、大蔵官僚が日本輸出入銀行や国民金融公庫の総裁ポストを独占していることについて、首相に責任転嫁した。》
(平成6年5月17日付産経新聞)
《「小沢さんより小渕さんの方がずーっと親しい」。大蔵省の斎藤次郎事務次官が19日、自民党小渕派(会長・小渕恵三元幹事長)の勉強会で講演、出席議員から、新生党の小沢一郎代表幹事との関係を聞かれ、弁明した》(平成6年5月20日付産経新聞)
《大蔵、通産の両事務次官が昨年暮れにそろって財界や労働界などを回った問題をめぐり、大蔵省の斎藤次郎事務次官は10日の参院予算委員会理事会で、訪問の目的について消費税率引き上げの環境を整えるための行動だったことを認めたうえで、陳謝した。
(中略)この問題は9日の予算委で、自民党の片山虎之助氏が財界回りの目的などについてただした。藤井裕久蔵相の答弁があいまいだったことから、審議が中断したままになっていた。》(平成6年6月11日付朝日新聞)
《「武村蔵相、私の意見と思って聞いてくれ。二信組問題はこれでいいのか。事務トップが責任をとることが必要だ」。小里貞利地震対策担当相が24日午前の閣議後の閣僚懇談会で、口火を切った。これに野中広務自治相が「斎藤次官は7年度予算が成立した日に辞表を出すと思ったけど、どういうことだ」と同調。亀井静香運輸相ら閣僚からも賛同のコメントが相次いだ。》(平成7年3月25日付産経新聞)
《大蔵省はずっと自民党の実力者との太いパイプをテコに政策を実現する手法を続けてきた。細川政権時代に、自民党から小沢氏を中心とする新生党(当時)に重心を移したのはむしろ大蔵流の当然の帰結だ。
幹部は「その時に一番強い政治家と組むのが大蔵省」という。国民福祉税の失敗にも、斎藤次官の周辺からは「小沢さんが与党内はまとめるといったのに、まとめなかった」と組む相手が悪かったという声が強い。》(平成7年5月20日付朝日新聞)
《次官就任は平成5年6月。自民党の長期単独政権が崩壊、連立政権誕生で官僚依存体質が強まった。斎藤氏は「求心力のない時代こそ私欲のない公務員が自信をもってことに当たるべきだ」と自身をのぞかせ、「赤字国債を出さないことが与えられた使命。もう一度出すと、これまでの努力が無になる」と歳出削減を強調した。》(平成7年5月26日付東京新聞)
《元大蔵事務次官の斎藤次郎・大蔵省財政金融研究所顧問が、東京金融先物取引所の理事長に就く方向で最終調整に入ったことが6日明らかになった。
(中略)斎藤氏は次官在任中の平成6年、細川内閣のもとで小沢一郎・新生党代表幹事(現自由党党首)とともに「国民福祉税構想」を提唱し、当時の野党だった自民党から強い反発を買った経緯がある。その後、自民党が与党に復帰したため、7年に退官した斎藤氏は、公的機関への天下りができなかった。》(平成12年4月7日付産経新聞)
…亀井氏は、以前は斎藤氏に次官退任を迫ったことがあるわけですね。因果を感じます。まあ結局、麻生政権時代の鳩山邦夫総務相をはじめ、現政権の人たちも西川善文社長にあれだけ非礼な言動をとってきたわけですから、財界人で社長を受ける人がおらず、斎藤氏に落ち着いたのかもしれません。
斎藤氏が日本郵政でどんな手腕を発揮するのかしないのかは不明ですが、亀井氏の言っている方向に進むと、だんだん赤字会社になっていきそうな気もします。なんかこのところ、気持ちがすっきりしません。
          
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