八月八日の台湾台風被害、まっさきに軍を入れようとしたのは中国だった。台湾の鵺(ぬえ)的行為にアメリカがいきり立った。
台湾がおかしい。馬英九(台湾総統)はつぎつぎと北京との妥協を重ねているが、一方で静かに反日教育も進め、台湾政治はますます混乱気味となっている。
ワシントンは馬英九の暴走に苛立ちを強めているという情報もある。
8月8日に台湾を襲った台風は少数山岳民族の村々を押し流し、数百の犠牲がでた。最近、関係者が明らかにした情報に依れば、あのとき、真っ先に軍の救援を要請したのは中国人民解放軍で、馬政権は、これによって台湾人民のために大陸の軍隊が駆けつけたというイメージを造りだし、統一ムードのさらなる前進に繋げる意図を抱いていた、という。
現実に政府高官が、二日間行方不明となった。台湾台風被害直後である。かれは香港へ密かに飛んで、人民軍幹部との秘密会合をもっていた。
前にも書いたが北京の骨董街=瑠璃蔽で胡錦涛と連戦とが握手している水墨画が堂々と店先に飾られていた。(詳しくは拙論『正論』12月号、写真も)。国民党と中国共産党の連携は、想像をこえる迅速さで進捗しているようである。
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(読者の声1)貴誌に三ヶ月ほど前にたびたび紹介されたウラジオストックですが、極東ロシアの日本中古車輸入関税問題は9月から本格化し、ウラジオストックの抗議活動は過激化しているようですね。またロシアの国産自動車会社の倒産の危機もつたえられています。
シベリア抑留の意味合いを調べています。つまるところスターリンに行きつきます。そのスターリンを批判できずに来た日本の学者の罪は限りなく大きい。
「小沢はヒットラーのようだ」というと世の批判を浴びますが、ヒットラーに比べてスターリンのほうがヒットラーの百倍、千倍も巨悪です。「ワル」の代名詞・形容句ではスターリンを言うべきです。丸山真男もスターリンについては腰が引けています。
スターリンとヒットラーの比較研究書なるものが複数あります。斉藤勉さんの実証的研究「スターリン秘録」、小説ですがフレーでリック・フォーサイスの「イコン」がスターリンの「悪」の記述では 秀逸です。(TK生、世田谷)
(宮崎正弘のコメント)沖合の島はルースキー島ですが、1012年のAPEC会場となるホテルや国際会議場のほか、ここに新設の大学を建築するそうです。
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(読者の声2)ヒラリー(クリントン国務長官)のイスラマバード訪問の記事をたて続けに読んで想ったことですが、彼女のチャームな演技とは裏腹の高圧的なクチに大学生たちは冷たい反応ですね。
岡田でなくても、このヒステリックなアメリカの外交手段と手を切りたくなる。結局、ヒラリーだろうが、オバマだろうが、“MIGHT IS RIGHT” が、アメリカの政治哲学と思って良いでしょう。
ドローン(無人攻撃機)の攻撃で死んだ市民に対して、SORRYとも言わなかったんだから。ぼくがその会場にいたなら、“I DON”T HEAR YOUR APOLOGY” といったでしょう。
アメリカは危険な国になった。
それにしても、パキスタンの大学生たちの冷静さに理知的な印象を受けた。日本の学生、政治家、一般大衆なら怒鳴り声を出す。そこが、日本民族の弱点かな。ぼくが間違っていることを望むが。。。(伊勢ルイジアナ)
(宮崎正弘のコメント)イスラマバードで堂々と講演し、記者会見し、テレビ討論会をやり、そのうえでパキスタン政府に言いたいことをヒラリーは言ってのけた。
外国の空港会社をこそこそとチャーターして、こっそりとカブールへ入り、防弾チョッキに身を固めて視察のジェスチャーをして六時間だけ滞在し、さっとアフガンから逃げ出した、どこかのくにの外務大臣と、つい比べてしまいました。ヒラリーはパキスタンに三日滞在しました。その期間、パキスタンは全土でテロの嵐に見舞われていた。
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4286 ヒラリー・クリントンと岡田外相 宮崎正弘

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