「よりによってまた”官僚の中の官僚”を起用するとは」と阿比留瑠比さんが嘆いている。”脱官僚依存”とは野党時代のスローガンであって政権与党になれば、きれい事ばかり言っておれないというのが本音であろう。意地の悪い見方をすれば、自民党寄りの官僚は排除し、民主党寄りの官僚を重要ポストに起用するのが”脱官僚依存”なのかもしれない。
<政府はきょう、人事院総裁任命含みで人事院の人事官に江利川毅・前厚生労働次官を充てる人事を国会に提示しましたね。江利川氏とは私も多少、面識がありますが、この人は事務次官を2度務めた珍しい経歴を持つほか、一時期は、官僚のトップである事務の官房副長官候補の本命視されていた「官僚の中の官僚」です。鳩山内閣は自ら掲げている「脱官僚依存」というスローガンを一体何だと思っているのでしょうか。
先日は、日本郵政の社長にやはり「官僚の中の官僚」と呼ばれた斎藤次郎元大蔵事務次官を起用したほか、同社の代表権を持つ社長、副社長の計5人のうち官僚OBが3人を占めるという人事を行いました。スローガンとは逆に、まさに「民から官へ」の流れをつくろうとしているようにすら見えます。
そんなことを思いながらテレビで予算委員会を見ていたら、みんなの党の渡辺喜美氏が「鳩山内閣は公務員制度改革の優先順位は低いと感じる」と質問していました。これに対し、平野博文官房長官は「(江利川氏起用は)決して天下りでも天上がりでもない」と強弁していましたが、いかにも苦しい答弁です。しかし、なんだかなあ…>
鳩山さんは野党時代に政権を取れると本気で思っていただろうか?仮に政権を奪取しても、自分のところには総理の座は回ってこないと諦めていたのではないか。野党時代に奔放な発言が多すぎる。それが今になって矛盾を自民党から追及されて、過去発言を撤回したり、釈明で防戦に追われている。
麻生太郎さんも奔放な発言が多い政治家だった。それが問題発言として度々ヤリ玉にあがっている。自民党内では吹けば飛ぶような小派閥だったから、総理になれるとは思っていなかっただろう。鳩山、麻生の両氏は祖父が宰相だったうえ、大金持ちのお坊ちゃん。二人とも脇が甘いのは”育ち”のせいなのかもしれない。
<4日に開かれた衆院予算委員会で鳩山由紀夫首相を苦しめたのは、野党時代に発信した自らの言動だった。自民党は首相の過去の発言や論文などを調べ、政権発足後の答弁との矛盾を追及。とりわけ、首相がかつて政治とカネを巡り繰り返した他党への批判は、自身の偽装献金問題を直撃した。野党幹部として長年続けた政府・与党批判は今、政権を揺さぶっている。
「首相は(かつて)『秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです』と述べている。会計責任者が犯した事件について、どう責任を取るのか」
衆院予算委で偽装献金問題を取り上げた自民党の柴山昌彦衆院議員には、追及の「切り札」があった。首相が03年7月に配信したメールマガジンの一節。当時、民主党幹部だった首相は土井たか子元衆院議長の秘書による秘書給与流用事件にからみ、「政治家と秘書は同罪」と断じていたのだ。そんな過去の首相発言に、自民党は目をつけた。
首相の資金管理団体の政治資金収支報告書には、故人や献金をしていない人から寄付を受けたとの虚偽記載があったことが判明。首相は元秘書の判断としているが、この日の答弁では「会計責任者に対する監督及び選任に対し、それなりの責めを感じている。監督責任の是非は、捜査に委ねたい」と防戦に追われた。
防衛相経験者の石破茂政調会長も、集団的自衛権を巡る首相の発言のぶれを追及した。首相がかつて「(同盟国に)基地を貸したり、後方支援をすることは集団的自衛権の行使」と発言したと指摘。石破氏が今の認識をただすと、首相は「過去の言動は撤回する」と釈明した。
鳩山内閣が掲げる「脱官僚依存」も、俎上(そじょう)に上った。日本郵政の社長人事で斎藤次郎元大蔵事務次官を起用したことについて、自民党の菅義偉衆院議員は「民主党のマニフェストは脱官僚を一丁目一番地に掲げている。矛盾していないか」と厳しく追及。首相は「今度の人事に関しては、省庁からのあっせんによる天下りではない」と、問題はないと強弁せざるを得なかった。(毎日)>
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4310 また”官僚の中の官僚”を起用 古沢襄

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