14,15の両日、シンガポールでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれるが、その共同宣言案が明らかになった。冒頭で米国を含む「アジア太平洋共同体」の創設をうたうという。
鳩山首相が北京で唱えた中国、韓国、日本を中心とした「東アジア共同体」との関係が定かでないが、ワシントン時事によれば、APEC首脳会議の準備に当たっている米国務省のカート・トン米代表代行は来年と再来年にAPECを主宰する日本と米国が協調し、最善の成果を上げたいと述べている。
ワシントン産経は「オバマ政権は鳩山首相の東アジア共同体構想に警戒感を抱いており、アジアの地域統合への基本姿勢をめぐる日米の違いが浮き彫りになった」としている。
<【ワシントン時事】シンガポールで14、15の両日開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の準備に当たっている国務省のカート・トン米代表代行は3日、ワシントン市内で記者会見し、APECの重要性を強調した上で、来年と再来年にAPECを主宰する日本と米国が協調し、最善の成果を上げたいと述べた。
米政府は、鳩山由紀夫首相が掲げる東アジア共同体構想に懸念を抱いており、今回の発言は同構想をけん制する狙いもありそうだ。
トン氏はAPECについて、「極めて有益」と高く評価。2010年は日本、11年は米国がAPECを主宰するが、「2年間のAPECの成果に大きな期待を抱いている」と強調した。
同氏はまた、APEC首脳会議に先立って開かれる閣僚会合にクリントン国務長官とカーク米通商代表部(USTR)代表、財務相会合にガイトナー財務長官が出席すると語った。(時事)>
<【ワシントン=渡辺浩生】シンガポールで今月開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を前に、米国務省のカート・トンAPEC代表代行は3日、記者会見し、APECを中核に、米国がアジア太平洋地域の経済統合を主導していく考えを強調した。オバマ政権は鳩山首相の東アジア共同体構想に警戒感を抱いており、アジアの地域統合への基本姿勢をめぐる日米の違いが浮き彫りになった。
トン代表代理は記者会見の中で東アジア共同体構想に言及。東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本、中国、韓国の3カ国を加えた「ASEANプラス3」、さらにオーストラリアやニュージーランド、インドを加えた「ASEANプラス6」など、米国が加盟していない枠組みを挙げ、「さまざまな方法で東アジア諸国が関係を深めるには十分な理由がある」と、東アジア共同体後送にも一定の理解を示した。
そのうえで、「肝心なことは、環太平洋機構としてのAPECが極めて重要ということだ」と指摘。アジア太平洋地域の経済的繁栄と安定を達成するために、APECを最重要の経済的枠組みと位置づけた。
2010年には日本が、11年には米国がAPECを主宰する。トン代表代理は「APECについて、日本側と広範囲な議論を続けており、その重要性について考えを共有している」と述べ、東アジア共同体構想に傾く鳩山政権を牽制(けんせい)した。(産経)>
<【シンガポール共同】シンガポールで14、15日に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の共同宣言案が5日、明らかになった。冒頭で「アジア太平洋共同体」の創設をうたい、米国なども含むAPEC全体を自由貿易地域とする構想の実現に向け、検討を進める方針を打ち出している。
APECとして欧州連合(EU)のような地域統合を目指す姿勢を明確化。2010年のAPECを開催する日本が中心となり具体的な作業を進めるが、鳩山由紀夫首相が提唱する「東アジア共同体」との整合性が問われそうだ。
東アジア共同体は、米国やオーストラリアがどのように関係するかはっきりしないことから、米国などが警戒。オーストラリアのラッド首相は、アジア太平洋共同体を主張していた。
宣言案は、APECの20年間の歴史の中で「アジア太平洋共同体の創設という共通の目標は変わっていない」との表現で同共同体に言及。
さらに「(APECに参加する21カ国・地域による)アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)の実現に向け基盤を整備し、さまざまな選択肢を10年末までに明らかにするよう事務レベルに指示する」と明記している。
宣言案はまた、世界経済危機からの回復は「まだ足場を固めていない」との認識を示し、各国が景気刺激策を継続する必要性を指摘している。
各国が自国産業を守る「保護主義」に反対し、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)を妥結させることの重要性も強調。地球温暖化防止のため、エネルギー効率の向上も盛り込んでいる。(共同)>
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4314 「アジア太平洋共同体」と「東アジア共同体」 古沢襄

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