4319 松沢神奈川県知事が鳩山政権を批判 古森義久

訪米中の松沢成文神奈川県知事と仲井眞弘多沖縄県知事が11日5日午後、ワシントンでともに演説をして、在日米軍基地の環境問題などについてアメリカ側への要望などを語りました。その後の質疑応答で松沢氏は鳩山政権が迷走している普天間基地移転問題について、以下のように述べました。
「(普天間基地を沖縄県内の辺野古に移すという)日米間の米軍再編の合意は自民党と共和党の合意ではなく、アメリカと日本という国同士が結んだ合意だ。外交では政権が替わるたびに合意が変わってしまうのでは、外交が成り立たない。国が一度、結んだ合意はしっかり実行してほしい。日本政府は2014年に向けての米軍再編計画の合意を実行してほしい」
「米軍再編はパッケージであり、普天間問題が未解決のまま長期化すると、全体のスケジュールが遅れる。私の神奈川県では米軍の艦載機の駐留を岩国に移すことが決まっているが、普天間が遅れれば、その移駐も遅れてしまう」
「(鳩山政権による)米軍再編計画の政策リビューは結構だが、普天間基地の国外や県外への移転はもはや不可能だ。嘉手納基地への統合もきわめて難しい。辺野古に移すしかない。(鳩山政権が普天間問題に)1年も2年もかけると、普天間移設自体が宙に浮いてしまう。(鳩山政権は)早く決断してほしい。米軍再編を約束どおりに、ロードマップに沿って、進めてほしい」
民主党の松沢知事がここまで述べるというのは、よっぽどのことでしょう。同知事は今回の訪米では米軍基地が存在する都道府県知事で構成する「渉外知事会」の会長としてアメリカ政府側との会談にのぞんでいます。訪米の主目的は在日米軍に関する日米地位協定を環境問題の要素を盛り込んで改定することを求め、もし改訂がすぐにできない場合は、新たな環境特別協定の締結を呼びかけることだそうです。
基地問題に直接に対処する県知事が自党の政権に対して、日米合意の実行を批判的に迫ったことは注視に値します。しかもアメリカでその批判を表明したことは、よほどの思いからでしょう。
鳩山政権は普天間問題に対しては、首相や閣僚の発言が二転三転し、相互に矛盾し、なにが真意なのかもわかっていません。
確実なのは、従来の日米合意どおりに普天間基地の県内移設をすぐには実行しないという態度だけのようです。明らかに優柔不断なわけです。この点を松沢知事は「早く決断してほしい」と正面から迫ったのです。
しかも同行している「渉外知事会」の副会長の仲井眞沖縄県知事までが次のように発言したことが重要です。「(普天間移設は)県外移転がベストだとは思うが、これまで10年もかかった紆余曲折や、環境アセスメントがなされた経緯も考えれば、沖縄県内に移すことはやむをえない」
つまり現地の知事が普天間基地は予定どおりに沖縄県内の辺野古に移すことに同意しているのです。
先にこのブログで紹介した渡辺利夫拓殖大学学長の論文の「米軍と沖縄の間に入って(県内移転を妨害して)いるのが鳩山政権だ」という指摘は正しかったということでもあります。
  
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