屋山太郎氏といえば、大物政治評論家です。私の尊敬する政治分析者の一人です。その屋山氏は最近は民主党への支持を表明してきました。民主党の官僚主導打破に共鳴したからだそうです。
しかしその屋山氏までが鳩山政権の外交を「度し難い」として酷評していました。
とくに鳩山首相がプレーンとされる寺島実郎氏の「ど素人国際評論」を口まねすることの「感覚を疑う」と、屋山氏一流の手厳しい表現で非難しています。
この屋山氏の主張は産経新聞の『正論』コラムに最近、発表されました。その外交に関する部分を以下に紹介します。
≪度し難い首相の外交感覚≫
度し難いのは鳩山由紀夫首相の外交感覚である。
鳩山首相は米国が求めている米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブへの移設問題をオバマ大統領の来日(11月12日)後まで漫然と延ばす風情だった。
ゲーツ国防長官が来日し、日米合意の履行を迫っても「政権が変わったから見直してもよい」と思っていたふしがある。
一方で東アジア共同体構想の具体化に熱心で、日中韓を中心に「EU(欧州連合)のような共同体を作りたい」という。
この態度は米側に「脱米入亜」路線をとるのかとの疑念を抱かせた。ゲーツ長官が来日して明快に米国の意思を伝えたにもかかわらず、この感度の悪さは信じ難い。
その理由を考えると鳩山首相の外交ブレーンといわれる寺島実郎・日本総合研究所会長の影響があるのだろう。同氏は文藝春秋10月号に「米中二極化『日本外交』のとるべき道」という論文を書いている。
日本は「米国追随」から決別し、真に「自立」しろ、というのである。
「日本がまだ『核の傘論』に拘泥していくことは、二十一世紀の世界秩序形成に全く噛(か)み合っていません」ともいう。
ゲーツ国防長官は日本から韓国入りし、核実験やミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮に対処するため、米国が韓国に「核の傘」「通常戦力」「ミサイル防衛(MD)」など「あらゆる種類の軍事力」を提供するとの共同声明を発表した。
寺島氏は韓国が核の傘を求めるのは「二十一世紀の世界秩序に噛み合っていない」というのか。
寺島氏の国際情勢認識はまさにど素人の発想で、この理論を現実の外交に持ち込む鳩山首相の外交感覚を疑う。EUが共同体結成に至ったのはキリスト教というベースがあったればこそで、日中韓にどのような共通のベースがあるのか。
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4339 ど素人に頼る鳩山外交 古森義久

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