民主党内にも慎重論がある永住外国人への地方参政権付与法案を議員立法で今国会に提出する方針を山岡賢次国対委員長が突然打ち出した。山岡氏の下には猛烈な反対の世論が殺到して、異例だが警察のSPをつける騒ぎとなった。
地方参政権付与をめぐっては、鳩山由紀夫首相が5日の衆院予算委員会で「前向きに考えている」と表明した一方、「民主党内に多くの意見があるのも事実だ。強引に押し通そうと思っていない」と党内対立の存在を認めた。
国民新党の亀井静香代表は永住外国人への地方参政権付与法案を今国会に提出することに反対の意向を表明した。みんなの党の渡辺喜美代表も「参政権を行使したいなら日本人になってほしい」と反対を表明。
共同、読売の世論調査でも鳩山内閣の支持率が低下傾向を示している時期に国民世論が二分している永住外国人への地方参政権付与法案を遮二無二に成立させようとする試みは、さらなる支持率の低下を招きかねない。
この法案は会期延長と密接にからんでいる。政府側は会期延長が避けられないにしても、延長幅を最短にとどめて、来年度予算案の編成を年内に済ませる腹を固めている。延長するにしても国民新党が固執する郵政株式売却凍結法案に絞り込みたい。そこに永住外国人への地方参政権付与法案が提出されると延長幅が広がる。重要法案を増やすことは官邸サイドとしては避けたい。
山岡氏が永住外国人への地方参政権付与法案にこだわるのは、最低でも今国会で継続審議に持ち込み、通常国会で成立をはかる腹だという見方がある。公明党がこの法案に前向きという事情もある。だが拙速で事を進めると鳩山内閣の支持率に影響が出るのは避けられない。難しい判断を鳩山首相は迫られている。
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