4376 「恵まれた家庭に育った」は理由にならない 阿比留瑠比

鳩山由紀夫首相は昨夜、5億円以上とされる自身の巨額な資産報告漏れ問題について「恵まれた家庭に育ったものですから、自分自身の資産管理が極めてずさんだったことを申し訳なく思います。心を入れ替えて、しっかりとやりたい。しっかりと国民の皆さんの目線にあった政治を行っていきたい」と語りました。まあ、どんな家庭に生まれるかは本人の決められることではありませんが、「恵まれすぎだろ」とひがみたくなる昨今です。弊紙の冬のボーナスは…。それに、恵まれた家庭に育ったから政治資金にずさんでいいという理屈は成り立たないように思います。
気を取り直して本日も、予算委員会シリーズを続けます。今回は10日の参院予算委での西田昌司氏(自民)による鳩山首相と小沢幹事長の政治資金問題追及の第2弾です。この質疑では、法廷で辣腕検事が被告を問いつめているような雰囲気を感じました。この中で首相は、元秘書が鳩山家の資産管理会社「六幸商会」から引き出したお金が6年間で3億円に上ることを明かしたのですが、これ、もっとさかのぼったら一体いくらになるんでしょうね。いやはやなんとも。
西田氏 総理は検察が捜査しているとどこから知ったか
鳩山氏 そういう報告を受けたし、新聞報道でも見ていた。
西田氏 誰から報告を受けたのか
鳩山氏 確か党の職員だったと思う。職員も新聞報道で受けたのかもしれない。そこは理解していない。
西田氏 総理自身が捜査を受けているわけではないですね
鳩山氏 私自身が捜査を受けているとは認識していない。
西田氏 この件について、検察に説明を求めたことはあるか。また、指示をしたことはあるか
鳩山氏 私自身がそのような報告を受けたということは、まったく記憶していない。
西田氏 総理が指示をしたことはないか
鳩山氏 指示などした覚えはない。
西田氏 政府参考人に聞きたいが、総理からそういう指示を受けたとか、説明を求められたことは
西川法務省刑事局長 一般論として言えば、検察当局では法と証拠に基づいて、取り上げるべきものがあれば適切に刑事事件で取り上げる。検察当局の姿勢に、検察に不当な制約を疑われるようなものはなさらないと承知している。
西田氏 総理はかつて、小沢さん問題で国策捜査だと表現された。それは訂正されたようだが、私たちはまだ危惧している。逆国策捜査の形で、指揮を執ったり、指導はしていないですね
鳩山氏 私は誤解を招きやすいような、そのようなことは一切行っていない。
西田氏 もうひとつ尋ねる。松岡農水大臣の事務所費問題があった。あれは、事務所費として内容を(政治資金収支報告書に)記載せずによかったが、内容が示されていないということで、あなた方は貴重な国会の場で質疑をした。あの問題はどう思うか
鳩山氏 もう必ずしも記憶が定かでない部分もあるが、松岡議員が亡くなられたことは大変ショックなことだった。あの問題に関して、私の記憶にあるのは、必ずしも、いわゆる国民の皆さんに対して正確な情報というものが伝えられてなかったのではないかということで、疑いがどんどん加速度的に膨らんでしまったのではないか。そのように認識している。
西田氏 松岡大臣の事務所費問題は違法であるとの認識か
鳩山氏 今、十分にそれにお答えできる状況にはない。
西田氏 政府参考人に聞く。事務所費の内訳を公表をしなかったのは違法になるのか
田口総務相選挙部長  一般論として答える。当時は事務所費は項目の総額を収支報告書に記載する仕組みになっていた。
西田氏 違法かどうかを聞いている。そこを答えてください。
田口選挙部長 総額を記載するということなので、内訳を書かないことは違法にはならない。
西田氏 松岡大臣の件は違法ではないと答弁があった。あなた方は、内訳を知りたいと執拗に国会で追及してきた。鳩山総理の友愛政経懇話会は、違法なことが疑われている。その認識はありますね。
鳩山氏 虚偽記載に関しては、当然、それは違法の行為だと理解しておる。私としては、そのことがわかった段階で、極力、収支報告の修正はしたが、そのことの違法性は変わらないと思っている。
西田氏 違法でない方についても、あなたは法律の要件以上にお求めになった。違法の疑いがあると認めたあなたの件も、自ら政治責任として内容を全部、国民に知らせるべきではないか
鳩山氏 その前のお尋ねでもう一度申し上げると、違法性があると感じているが、違法であるかどうかの最終判断は司法に委ねないといけない。司法をまたなければならない。私のことに関して、国民の多くの皆さんが、まだまだ説明が足らんぞというのはよくわかる。私自身もその思い。すなわち、本来ならば、元実務会計担当者と接触をして、いろんな思いを、正直にうかがいたいという思いもあった。しかし、接触が断たれている以上、そしてすべての書類、資料が検察の手にゆだねられている以上、そこにすべてがわかっているわけですから、そこの判断を待ちたい。
西田氏 まだあなたの罪が確定しているわけではもちろんない。ただ、捜査を受けているというのが疑いがあるということ。ところが、松岡を追及してきたあなたが、なぜまともに答えられないのか。勝場さんと接触できないというが、勝場さんの弁護士はあなたの弁護士と違うのか
鳩山氏 弁護士は違います。違う人が弁護士になっている。勝場君も弁護士はついている。
西田氏 弁護士はあなたの紹介ではないのか。
鳩山氏 私は一切、そこにはタッチはしておりません。
西田氏 昨日、木庭健太郎委員(公明)から質問があった。六幸商会から、いくら友愛政経懇話会に毎年寄付されているのか。明細をお尋ねしたいというと、それは調べればわかると答えた。質問通告もしたが、今ここで明らかにしてほしい。
鳩山氏 今お尋ねの件に関してお答えする。六幸商会の私の個人口座は、これは前から申し上げている通り、私の個人の人間としての支出の部分もあるし、また、個人の政治家として支出の部分もある。また、友愛政経懇話会の部分もある。それが、ある意味で一体となった中での額だという風にご理解いただきたいと思う。私個人の資産から元会計実務担当者にゆだねていた個人資産のうち、六幸商会の私の個人口座からの出金分は年平均約5000万円。詳細は捜査中なので控えさせていただきたい。繰り返しになるが、このお金のなかには、個人が個人として支出すべき部分も入っているし、一政治家として支出すべきお金も含まれているということだ。
西田氏 あまり大きなお金で、ちょっと私も言葉を失ってしまったが、5000万円は何年間にわたってか
鳩山氏 調べております範囲は、6年間だ。
西田氏 そこまで調べたのだから、内容を精査して身の潔白を明らかにするためにも、国民の前でしっかり報告する気はないか
鳩山氏 今、申し上げたように、洗いざらい申したつもりだが、詳細は、どこに使っているかの話は、今すべてデータが検察にわたっているので、そこで調べているところだと理解している。
西田氏 総理は非常にまじめな方だと思う。総理の人格を尊重して信用したい。総理が自ら示してほしい。次だ。小沢さんの事務所費問題だ。ここに資料がある。資料をどこからとってきたか。民主党さんのホームページだ。今日も掲載されているが、かつて小沢代表が、平成19年2月20日に、自らの事務所費問題で釈明されたときに、提出された資料がそのままホームページにアップされている。
ここを見るとわかるように、まず不動産売買契約書。ここには、黄色い線だが、要は平成16年10月5日に契約して、その時に1000万円の頭金を払い、残余の金額は平成16年10月29日までに払うということが書かれている。そして、もう一枚の売渡証書。ここには、平成16年10月29日付で売り渡しをしたという証書があるわけだ。
つまり、平成16年10月29日までにすべての代金決済がされてるということをこの書類は証明している。そうなると、この支払、この事実は、陸山会の平成16年のその時の支出として書かなければならないと思う。政府参考人に聞きたい。まず、その年の収入、支出はその年に書かなければならないのではないか。
田口選挙部長 政治資金規正法では、その年における収入、支出を記載するとされる。支出は金銭、物品、その他とされる。したがって、一般論として言うと、支出はその年で金銭物品、財産の供与・交付を記載すべきと理解される。
西田氏 要するに、支出した年に報告されなければならない。登記日は認められていないと。ところが、陸山会が報告したのは登記をした翌年の1月7日だ。これは認められるのか。
田口選挙部長 只今申し上げた通り。その年において金銭物品、その他供与があったものを記載すべきと。
西田氏 要するに、法律で認められていない。明らかに虚偽報告になると思うが、原口大臣、あなたは先日、事実であるなら答えると言った。事実を踏まえて答えて下さい。
原口総務相 総務省は個別の調査権を有していない。具体的な事実関係を承知する立場にないので、答えは控える。
西田氏 あなたは政治家であり民主党議員だ。そして民主党のホームページに載っている。総理は民主党の代表だ。ホームページに今も記載されており、明らかに虚偽報告だと思うがどう思うか
鳩山氏 今、原口大臣が申したように、個別の事実関係は話はうかがっているが、全く承知していないので答えは差し控える。委員の主張は主張として、不動産問題として何度も取り上げられ、小沢幹事長も記者会見などで質問に答えている。したがって仮定の質問はさしひかえさせていただく。
西田氏 いま答えられなくてもあなたの党の幹事長、前代表だ。しかもホームページに出ている。党として調査する気はないか。
鳩山氏 もう既に小沢氏自身も、様々、発言をしていることと思うが、党としてこの問題に対して、いま、西田議員からそのようなお尋ねがあった。検討させていただきたい。
西田氏 必ず調査をして、国民に事実を知らせていただきたい。政府参考人に聞く。鳩山総理は毎年5000万円入ってきたと。個人のお金が政治団体にいくとか、それが限度額を超えるとか様々出ている。課税上も政治資金が個人に渡ったり。政治資金として個人が受けたらどういう金か。もしあったらどういう課税関係になるか。
岡本国税庁次長 一般論だが、政治家個人が提供を受けた政治資金は、所得税上、政治家個人の雑所得の収入金額として取り扱う。雑所得は総額から必要経費を差し引く。差し引いた残高が課税対象となる。
西田氏 小沢の問題は、完全に虚偽報告として破たんしている。党として民主党として明確な回答を求めます。
…予算委シリーズはとりあえず今回までとします。お付き合いくださいましてありがとうございます。さて、私は当初から、鳩山首相はそう長くもたないだろうという観測を書いてきましたが、政府関係者と話していてもそういう見方が増えています。しかし、鳩山氏が仮に倒れたら次は菅直人首相かあ。それもなんだかパッとしないというか、それで何か期待できる気もしないというか。まあ、物事はすべて、なるようになるのだから、先回りして心配しても仕方ないですね。
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