アフガニスタンへの外人部隊はイランからも夥しく潜入。チェチェンやアラブ諸国から原理主義軍事派がアフガンでの騒擾を加速。
アフガニスタンの北西部とイランは国境を接する。ヘラートの西寄りに位置するイスラムカラという街が国境、チェックポイントである。難民もこの街を抜けてイランへ逃れた。
州都=ヘラート周辺はハザラ人の居住区で、アフガニスタンの主流パシュトンや北部同盟のタジク、ウズベクとも異なる。ペルシャ系とされる。
タリバンの兵の補充は難民の聚落でもリクルートされ、月給は240ドルから360ドル。ほかにやることもなく貧困に喘ぐ難民のなかには、タリバン兵士に応募し軍事訓練の拠点へ移送される。かれらが自爆兵士予備軍となる。
イスラムカラという国境の街で検問をパスすると多くはヘラートへやって来る。ヘラートに一軒だけ外国人の宿泊できるホテルがある。「バーミヤン・チャール・フェイサル・ホテル」という。
アラブ系と見られる外国人が目立つようになったと経営者がアジアタイムズの取材に応じている。
「かれらは数日間宿泊し、『一番良い部屋を寄越せ、一番うまい飯を出せ』と要求し、数日ぶらぶらして(連絡を待っているかのように)、それからアフガニスタンの何処かへ消える」(アジアタイムズ、11月13日付け)。
会話をすると『アメリカがアフガニスタンを占領している。アメリカを追い出せ』と喋るという。或る時、一人のアラブ系が鞄の忘れ物をしていった。「鞄を空けるとヘラート空港や、夥しい地図を書類が詰まっていた」とヘラートの警察幹部がいう。
▲アメリカが撤退するとタリバニスタンになるばかりか、カルザイ支持派は虐殺されるだろう
こうした状況を「陥落前のプノンペンと酷似している」と暗い比喩を展開するのは『プノンペン・ポスト』のミカエル・ヘィエズ社長だ。
「ロン・ノル政権は確かに腐敗していた。アメリカの傀儡と言われた。そして米軍がでていくと共産主義者がやってきて二百万の虐殺がはじまった。カブールでカルザイ政権はひどく腐敗している。カルザイを本気にで支持するアフガン人はいないし、カルザイはアメリカの傀儡とも言われているが、もし米軍がでていくと、カブール市民はほぼ全員がタリバンに虐殺されるだろう」(ヘラルドトリビューン、11月13日付け)。
西側多国籍軍の現地司令官マクリスタル将軍はオバマ大統領に四万の増派を求めた。バイデン副大統領が「カルザイ政権は腐敗の固まり」と言って増派に反対し、民主党の多くも反対し、いまもってオバマ政権は意見が分裂して収拾がつかない。
くわえて駐カブール米国大使カール・アイケンベリーは元アフガン駐在司令官(准将)。軍歴が華々しくもあり、その彼も何の因果か米軍の増派に反対しているから話はややこしい。
増派四万から一万でOK、いや二万から三万と侃々諤々の論争が続いているためオバマ大統領は増派への躊躇いが見られる。
オバマは食事も喉に通らない日があり、痩せてきた。日本にはなにも期待しないでやってきたオバマを待つのは宇宙人首相である。
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4377 米軍撤退でカルザイ支持派は虐殺か 宮崎正弘

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