その場の思いつきで軽く発言する癖がある鳩山首相だが、シンガポールでの同行記者団に対する記者会見で、普天間移設は急がないと言ったことは、与野党双方で批判や困惑の声が広がる一方で、米国務省や国防総省にも批判が出ている。
東京での日米首相会談でオバマ大統領が普天間移設の早期決着を求めた時に鳩山首相は緊張して青ざめたという。首相官邸筋からは米側は普天間に触れないと希望的観測を伝えられていたからだ。それほど今の官邸は情報から隔絶されている。あるいは意図的な情報操作を行っていたのかもしれない。
オバマ大統領の強い態度に、鳩山首相は「(普天間移設は)できるだけ早く結論を出す」と言わざるを得なかった。首脳会談後の共同記者会見でも鳩山首相は約束した。鳩山首相にしてみれば「何故!」という思いがあったのではないか。
それが一夜明けたシンガポールで沖縄県名護市に移設する現行計画にこだわらない考えを示し、来年1月の名護市長選を見極めて判断する可能性まで言及したのだから、首脳会談の合意を覆したと受けとられかねない。さらに口が滑ったのか「「オバマ米大統領とすれば、日米合意を前提と思っていたいだろうが・・・」と言うに及んでは、”米大統領への背信”という批判を浴びることになった。
鳩山首相にしてみれば、首脳会談でオバマ大統領から普天間移設の早期決着で強く踏み込まれ、「できるだけ早く結論を出す」と言わざるを得なかったから、シンガポールで「来年に先延ばしもある」と軌道修正して置きたかったのではないか。それでバランスをとるつもりだったのだろう。
この手は与野党の駆け引きでは通用するが、米大統領との首脳会談では通用しない。姑息な手段とみられ、相互信頼を欠くからである。とくに同盟国の間では率直に話し合い、意見対立は隠さず残すことが、次の信頼のステップになる。官邸筋は日米協調を演出しようとするあまり、あまりにも作為的に走り過ぎている。誤った情報操作があったと言われても仕方ない。
首脳会談の直前まで普天間移設で、ワシントンの厳しい見方と東京の楽観的な見方が交錯していた。今のような拙劣な対米外交を繰り返していれば、日米同盟はほんとうに危機を迎える。
<日米首脳会談後の鳩山首相の対応をめぐり、15日、与野党双方で批判や困惑の声が広がった。自民党は批判を強め、政府内でも日米関係の悪化を懸念する声が上がった。
首相は13日の首脳会談とその後の共同記者会見で、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題について「できるだけ早く」結論を出す、とオバマ大統領に語った。しかし、14日には記者団に対し、沖縄県名護市に移設する現行計画にこだわらない考えを示し、来年1月の名護市長選を見極めて判断する可能性を示唆した。
自民党の石破政調会長は都内で記者団に、「首相の(大統領に対する)背信行為だ。(首相の衆院選前の主張との)整合性を取るため、『大統領との合意はなかった』と言ったとしか思えない」と厳しく批判した。
大統領は14日に都内で行った演説などで、普天間問題に関する日米の外務・防衛担当閣僚級の作業部会について、現行移設計画の履行が前提となり、日本側も同意したと述べている。
長島昭久防衛政務官はNHKの番組で、首相の発言に「正直びっくりした」と戸惑いを隠さなかった。福山哲郎外務副大臣もテレビ朝日の番組で、石破氏から「日本と極東地域の平和と安定を名護市長選に絡めていいのか」と追及され、「(指摘に)同意する。市長選に委ねる話ではない」と答えざるを得なかった。防衛省幹部は「米側に恥をかかせてしまった」と困惑を隠さなかった。(読売)
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
4390 「米大統領への背信」普天間の首相発言に批判 古沢襄
未分類
コメント