4391 「人権」批判をしないオバマ政権 宮崎正弘

オバマ政権、対中アプローチを劇的に変えた。当面の目標は人民元切り上げ。人権批判は当面しない方針。変化の兆しは随所にあった。一月の指名公聴会で証言したガイトナー財務長官は「中国は為替不正操作しているとオバマ大統領は認識している」と明言した。
 
にもかかわらず四月と十月の財務省議会報告には中国を「為替不正操作国」のリストからはずした。財務長官はこの間、二回、訪中し「米国債への投資は安全です」とひたすらご用聞きに回った。
オバマはダライ・ラマ法王との面会を避け、それ以前に訪中した「人権」とフェミニズムのチャンピオン=ヒラリーもペロシも北京で「人権」批判をしなかった。だから米国の対中姿勢は明らかに変調していたのだ。
言うまでもない。米国は世界一の外貨準備高をほこる中国が保有する米国債の購買継続と維持が目的となり、「西側モデル」「民主化」要求と「人権批判」を抑え込む。
そればかりか民主活動家の釈放さえ、米国は北京に要求せず、自由と民主を渇望する人々を大いに失望させた。ネオコンの論客ロバート・ケーガンは言った。「米国の衰退は、この変化からも明らかである」。
七月にこういう事件があったという(ヘラルドトリビューン、11月16日付け)。
中国の財務担当高官が訪米し、米国のカウンターパートとの会談を開催した。中国側から質問が集中したのは、米国のヘルス・ケアだった。これは“オバマケア”とも渾名される理想的な国民皆保険、医療改革で、先般下院を通過しているが、おそらく上院で大幅に修正されるか、或いは廃案の可能性もある。
▲中国がオバマのヘルス・ケアに異常な関心を示した理由
「?」。中国も国民皆保険、医療費改革の乗り出す?
とんでもない。
中国の思惑は完全に異なった。かれらの関心はオバマ大統領のすすめるヘルス・ケアが実現した場合、いったい米国の赤字はどうなるのか、どこまでどういう風に増えていくのか、そのとき米国債の価値はどうなるのか、というポイントのみにあった。
ピーター・オーザッグ予算局長が説明に汗を掻き、つまりはヘルス・ケアの社会的意義に関する質問はなかったというのである。
そして東京へやってきたオバマは演説した。「中国を封じ込めることはしない」「中国の繁栄が国家共同体の強さの源である」オバマ訪日とその後のアジア歴訪は、紛れもなく米国の力の凋落を予兆させた。
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コメント

  1. yutakarlson より:

    ■米、アジアに積極関与 オバマ大統領都内で演説―隠れた意図を読み取ろう!!
    こんにちは。私のブログでもオバマの演説をとりあげました。こういう演説を聴いて、そのまますべて額面どおり受け取る人は、余程人が良い人か、それともコミュニケーション能力がない人だと思います。このような演説は、どうしても、あたりさわりのないものになってしまいますが、その中でも、現在のタイミングとか、オバマ大統領の考え、現在の世界状況や、アメリカ国内、日本国内など勘案して何を意図しているのか探るべきです。ただし、私は国際政治に関しては、門外漢であり、私の稚拙な分析を披瀝するために掲載したわけではありません。私は、このようなことをすることにより、よりコミュニケーション能力が磨かれ、普段の仕事にも役に立つと思います。詳細は、是非私のブログをご覧になってください。

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