黄海海上における韓国と北朝鮮の緊張状態が増幅している。15日には北朝鮮が黄海道甕津半島一帯に配置しているシルクワームなどの地対艦ミサイルを稼働させる兆候がああたことから、射程内にある韓国艦艇を一時、待避させる動きがあった。韓国軍消息通がこれを認めたと朝鮮日報が伝えている。
<韓国軍当局は15日、北朝鮮が黄海道甕津半島一帯に配置しているシルクワームなどの地対艦ミサイルおよび海岸砲部隊が、一時射撃統制レーダーを稼働させた兆候をとらえ、艦艇を待避させるなど、非常警戒態勢に入っていたことが分かった。
韓国軍消息通は「午後1時ごろ、長山串とその南方の海岸一帯に配備されている北朝鮮の地対艦ミサイルおよび海岸砲部隊の射撃統制レーダーが稼働している兆候をとらえた。そのため大青島や延坪島付近で、北朝鮮のミサイルおよび海岸砲の射程圏内にいた海軍の哨戒艦(1200トン)と高速艇を、射程圏外に待避させた」と語った。
射撃統制レーダーの稼働は、ミサイルまたは海岸砲などを利用し実際に攻撃や射撃の訓練を行う際、訓練の一つとして行われることもあるが、北朝鮮がこの日どういう目的でこうした措置を取ったのかは、明らかになっていない。
合同参謀本部の関係者は、「北朝鮮の地対艦ミサイルと海岸砲のレーダー稼働は、以前にも訓練中にしばしば行われていたが、今月10日に起きた西海(黄海)での銃撃戦以後、北朝鮮による報復の可能性が懸念されている状況下で発生したことから、艦艇の待避措置などを取った」と説明した。
南北将官級軍事会談の北側代表団団長は、今月13日に韓国側団長に対し「西海には、われわれ(北朝鮮)が設定した海上軍事境界線だけが存在することを再度想起させるとともに、今この時点から、それを守るためわれわれの無慈悲な軍事的措置が取られることになるだろう」という通知文を送り、今回の交戦後初めて軍事的措置に言及した。
消息通によると、北朝鮮軍の射撃統制レーダーは1時間ほど稼働して停止し、追加稼働の兆候は見られなかったという。延坪島付近の北朝鮮の海岸には、射程距離83-95キロのサムレット・シルクワーム地対艦ミサイルと、130ミリ(射程距離27キロ)と76.2ミリ(射程距離12キロ)海岸砲、152ミリ平射・曲射砲(射程距離17キロ)が集中配備されており、大清島・延坪島などを射程圏内に収めている。
軍当局は、水上艦艇を動員した海上交戦では北朝鮮が韓国海軍に対し絶対的劣勢にあることから、海岸砲や地対艦ミサイル、非武装地帯(DMZ)内での銃器による挑発などによって報復を行う可能性があると見て、鋭意注視している。北朝鮮軍は、今年初めに軍事的緊張を高めたときにも、1月から5月までの間に延坪島付近で約1000発もの砲撃訓練を実施した。
軍当局は、北朝鮮の報復および追加挑発の可能性に備え、射程距離150キロの韓国産艦対艦ミサイル「海星」などで武装した4500トン級の韓国型駆逐艦2隻(崔瑩〈チェ・ヨン〉艦・姜邯賛〈カン・ガムチャン〉艦)をはじめ、哨戒艦や護衛艦(1800トン)などを北方限界線(NLL)付近に前進配置している。
韓国空軍も、有事の際に北朝鮮の地対艦ミサイルおよび海岸砲基地を攻撃することができるよう、仁川および永宗島付近上空での哨戒活動を強化しているものと思われる。(朝鮮日報)>
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4396 韓国艦艇などを射程距離外に待避 古沢襄
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