4414 日本の媚中外交も霞むオバマ訪中 宮崎正弘

米中新時代のどこか「新しい」のか。オバマ訪中の意義とは?オバマの米国も「中国様」に平身低頭。「中美共治」という美辞麗句も登場。
オバマ大統領の訪中は「多大な成果」を挙げられず、12年ぶりの「共同声明」を出して終わった。「戦略的信頼」を謳った米中共同声明の中味に新味はなく、1998年の米中共同声明を塗り替えただけのものである。これでは日本の媚中外交も霞んでしまいそう。
米国は人権批判もチベットもウィグルも議題に持ち出さず、唯一、共同声明に「人権で意見の相違がある」と文章化したのみ。
地球温暖化との協力を一応は提議したが、もっぱら専心したのは「人民元」「貿易不均衡」だった。ただし、北京での記者会見の席上、オバマは「台湾関係法」の維持を明確に言い切った。
「周到に慎重に手配された」(ヘラルドトリビューン、11月18日付け)中国訪問だったが、オバマがのぞんだ「民主活動家」「ブログの言論人」「学生活動家」らの対話は実現せず、上海でのタウン・ミィーティングは共産党が指名し、動員された「やらせ」の聴衆だった。
中国のマスコミは、いつものように都合の良い報道しか許可せず、北京の学生は、上海で行われた大統領との対話集会を知らなかった。
「つまり自由民主をのぞむ学生、知識人との対話や軍視察、研究所視察というオバマの事前の訪問希望はすべて断わられ(警備の都合という理由がついた)、かわりに用意されたのが紫禁城と万里の長城見学。これで合計六時間。まるで観光旅行に終わった」(ディビッド・シャンボー、前ブルッキングス研究所シニアフェロー、IHT=11月18日コラム)。
 
「中美共治」という傲慢な言葉が中国のマスコミに登場した。
文字通りに解釈すれば「G2」とは、中国と米国で世界を統治するという意味であり、ロシアもEUも、もちろん日本も入らない。
「米ソ冷戦」から「米中共治」。嗚呼、米帝国の衰退によって状況はかくも鮮明に変貌した。
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