なんだ、鳩山外交なるものは、結局、小切手外交ではないか。こんな失望を感じさせられた今回のアフガニスタン支援でした。
50億㌦約4500億円という巨額の資金をODAに等しい援助としてアフガニスタンに贈るというのです。民生分野、とくに帰順したタリバン元兵士の職業訓練などへの大型経済援助です。
ところが日本のこうした援助はすべてアフガニスタンの治安がかなりの程度、保持されて初めて可能となります。アメリカはじめ他の諸国は、その治安回復のために、生命への危険をおかして、戦闘地域での任務についているのです。
しかし日本は非軍事の要員をも送らない。もちろん戦闘要員は送らない、送れない。多国籍軍の後方支援にあたるインド洋での給油活動を実施してきた日本の自衛隊は撤退してしまう。鳩山政権はその分の埋め合わせを50億㌦というカネですまそうというのです。
人間は動かさず、資金だけを出す「国際貢献」とは小切手外交以外のなにものでもありません。日本が小切手外交によって、全世界の愚弄の対象となったのは1991年の第一次湾岸戦争の直後でした。このときはイラクのクウェート軍事占領の暴挙に国際社会が団結して対応したとき、主要国のなかでは唯一、日本は人間を送れませんでした。医療や人道の要員さえ派遣できず、130億㌦という資金だけを「戦後」に払ったのです。
今回の鳩山政権の対応も発想はまったく同じです。厄介なことは体を使わず、頭も使わず、カネだけですまそうという思考です。
しかも日本全体としては余分な政府支出を極限まで削るというような目標が叫ばれ、「事業仕分け」によって1億円、2億円という単位の公的支出が削られているのです。そんなときにアフガニスタンに4500億円を出すことをあっというまに決めていまう。
鳩山政権の小切手外交は二重三重に驚嘆に値します
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4421 鳩山外交は小切手外交だ 古森義久

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