またまた出てきた中国の収賄、賄賂スキャンダル。ナミビアの政府高官の子どもらを秘密奨学金で中国へ留学させている。
国民は貧乏だが、資源リッチ。「アフリカ諸国への低利融資を向こう三年間であらたに100億ドル追加する」と温家宝首相ははなばなしく宣言した。11月8日、カイロで開催された「中国アフリカ首脳フォーラムの席上、温首相は「中国は奨学生制度も拡充する」とした。
旧ドイツ領『南西アフリカ』は1984年に独立、ナミビアとする。人口210万人。国土面積は日本の2・2倍。
ナミビアでは兵器購入の責任者に70万ドルの賄賂が贈られていた。従来のドイツ兵器からメードインチャイナの兵器が搬入された。
鉱山開発の担当大臣の息子は中国へ留学、ウラン鉱山の探査・開発の権利を中国企業がおさえた。
空港の手荷物検査機器は胡錦涛の息子が社長だった中国企業が売り込み、5530万ドルを契約、中間に入ったエージェントに莫大な賄賂が支払われていた(賄賂を受け取った政府高官は起訴されている)。
露骨な手口は産油国、南アジア、アフリカでは効果てきめんである。
アフガニスタンの銅鉱山開発は中国が独占し、3000万ドルの賄賂がアフガニスタンに支払われていたように、がむしゃらにカネを外交手段として駆使し、相手の頬を札びらでひっぱたくかのように商談を強引に推し進めるのだ。
ナミビア大統領ポアンボの娘と前大統領サンヌジョマの二人の親戚は中国からの秘密奨学金で中国へ留学しているとナミビアの新聞がすっぱ抜いた。
検事総長と法務大臣の子供たちも中国へ留学しているうえ、鉱山開発とエネルギー担当の大臣、次官の子供たちも中国の秘密留学制度を「活用」していることが発覚している(ヘラルド・トリビューン、11月21日付け)。
▲問題はナミビアだけではない
ナミビアでは83%の高校生が大学へ進学できない。高校生はエリートであり、全土に12000名いる。大学は2000名のキャパしかなく、海外留学は高嶺の花である。
ナミビア文部省は「年間十人程度しか一般学生の海外留学の枠はない。いずれも外国からの奨学金である」としている。公開された留学生募集リストに中国の奨学生制度はない、とナンゴロ・ムベンバ文部大臣は記者会見している。
シャリリ准将はナミビア国防軍司令官。七月に解任された。武器購入をめぐり中国から70万ドルの賄賂を受けた容疑が晴れなかった。起訴される予定。
かくてアフリカ南部では比較的民主化が進んでいると言われたたナミビアにも『レッド・ブライブ(赤い賄賂禍)』は進んでいた。
ほかの独裁国家、たとえばアンゴラや、部族国家の、たとえばスーダン、ジンバブエなどでの賄賂作戦は推して知るべし。
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4436 アフリカに広がる中国の賄賂攻勢 宮崎正弘

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