悲観論者の私は確か2~3ヶ月前にこのままアメリカ経済が悪化し続けドル安/円高が進めば為替が70円台突入もあると言っていた。
遺憾ながら、昨日から一時的にもせよ円は14年振りとかで84円台を記録していた。株価も下がった。今日の最終レートは86円台に戻していたが、アメリカの危機のみならずドバイまでが参入して来るとは寡聞にして知らなかった。国家の重大事であると言いたい。
これほどの円高がどれほど我が国の経済に悪い影響を及ぼすかなどは、今更云々するまでもないことだ。そこに菅副総理も認めたデフレ傾向がある。ここまでのことは何も民主党政権の責任ではない。
だが、私が見る問題点は現内閣が余りにも現在の世界規模の不況に対して、適切であろうとなかろうと手を打つには弱体な点なのである。鳩山総理が不適切な存在であることは先ほど論じたばかりだ。
それのみではない。亀井金融担当大臣はこのドル安に関して「アメリカで適当な施策を講ずるべきだ」と言っている始末だ。そんな手があるのだったら、オバマ大統領だってとうに何とかしているはずではないか。
彼がしゃしゃり出るべき場面ではない。第一、アメリカ一国で対策を打っただけで、何とかなる状況ではないことくらいお解りだろう。中国に向かっても同じことを言って欲しい。
彼を含めて他にも労組の経験者ばかりを閣僚に並べて、不況やデフレや極端な為替変動に対応していけるだけの輸出入と国内販売の経験があるのか。また、現在の状況は充分な経験者でも対応し切れていないほど困難なのである。
トヨタを始め我が国を代表する輸出企業の大手が皆、今年第4四半期ないしは後半の為替を90円で計画しているのも驚きだった。パナソニックに至っては95円だったと言うではないか。
彼らですら読み違っていたこの時期に、政権を獲ってしまった民主党は不運だったでは済まされない状況である。唯一の経済・財政専門の官庁出身の藤井財務大臣にしても、その経験は今や過去のものとなったし、77歳は高齢に過ぎると私は懸念する。
事業仕分けも国会での駆け引きも、鳩山総理や菅副総理や小澤幹事長の金銭問題の対応も重大だろうが、ここは何処かの党首が言ったように「全員野球」ではない「全員攻撃・守備」態勢で、経済・財政・通貨対策に一丸となって対処して貰いたいものだ。アメリカへの適切な対応も忘れてはならないが。
私は以前に小澤幹事長宛に「君、国潰したもう事なかれ」とお願いしたが、事此処に至れば「君」ではなく「全国会議員」とでも変更せねばならないと考えている。
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4482 ドル安に直面する不運な民主党政権 前田正晶

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