鹿児島県・種子島から打ち上げられたH2Aロケット16号機には、政府の情報収集衛星「光学3号機」が搭載されている。日本のロケット打ち上げ技術は、H2Aロケット7号機から10機連続の成功となった。
ロケット打ち上げは日本の誇るべき技術力だが、情報収集衛星「光学3号機」が北朝鮮を監視する日本独自の”偵察衛星”である点も注目される。日本攻撃用のノドン・ミサイル200基を実戦配備している北朝鮮の動向は、空からの偵察衛星によって監視するしかない。
これまでは「光学1号機」と「光学2号機」によって北朝鮮の監視を行ってきたが、1号機は設計寿命(約5年)を過ぎたことや、もともと地上の物体の識別能力では、米偵察衛星よりも劣るとされてきた。
軍事上の機密の当たるので、「光学3号機」の機能は公表されていないが、地上の物体の識別能力がこれまでの1メートルから数十センチに向上しているといわれる。地上のマッチ箱まで識別する米偵察衛星に一歩近づいたのではないか。
また光学衛星には、夜間や雲がかかっても監視できるレーダー衛星の1組2基の体制をとって、情報収集に当たる仕組みをとっている。「光学3号機」に欠かせない「レーダー3号機」は、11年度に打ち上げの予定。
日本のロケット技術の進歩や偵察衛星の能力が高まるにつれて、鹿児島県・種子島の軍事的な意味が大きくなった。地理的にみて種子島が裸のままで置かれている状態は危うい。これまでは種子島の警備は、鹿児島県警と第10管区海上保安本部に任されてきた。
やはり国家的なプロジェクトのセンターと化しているのだから、国家の責任でテロや妨害工作などを警戒する必要がある。その声が起こらないところに、この国の平和ボケというか、無責任な放置国家の姿がある。
<政府の情報収集衛星「光学3号機」を積んだH2Aロケット16号機の打ち上げを控え、種子島では27日、県警や第10管区海上保安本部などが警戒を強めている。衛星は、軍事施設の監視などが主目的の、事実上の「偵察衛星」のため。打ち上げは28日午前の予定。
県警は警備本部を9月中旬に立ち上げ、テロや妨害工作などを警戒。鹿児島市や西之表市の高速船乗り場にも警察官を配備した。また、南種子町の種子島宇宙センター内には検問所も設置し、通行車両のナンバーを控えるなど警戒を強めていた。(毎日)>
<政府の情報収集衛星「光学3号機」を搭載し、打ち上げられたH2Aロケット16号機=鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで2009年11月28日午前10時21分、野田武撮影 三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は28日午前10時21分、政府の情報収集衛星「光学3号機」を搭載したH2Aロケット16号機を、鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げた。約20分後、衛星を無事分離し、予定軌道への投入を確認。打ち上げは成功した。
H2Aの打ち上げは7号機以降、10機連続の成功となった。
情報収集衛星は北朝鮮などの軍事関連施設の監視が主目的の事実上の「偵察衛星」。光学衛星と夜間や雲がかかっても監視できるレーダー衛星の1組2基で情報収集する。
光学3号機は設計寿命(約5年)を過ぎた光学1号機の代替衛星。安全保障上の理由から詳細な能力は公表されていないが、地上の物体の識別能力がこれまでの1メートルから数十センチに向上している。
打ち上げ費用は約94億円。光学3号機の研究開発費用は総額約487億円という。
政府は、天候などに左右されず地球上のどの地点でも1日1回は撮影できる「2組4基」態勢での運用を目指している。03年11月にH2A6号機の打ち上げに失敗し1組2基を失ったが、06年9月に光学2号機、07年2月にレーダー2号機の打ち上げに成功。これにより「2組4基」態勢が確立。
だが同3月にレーダー1号機でトラブルが発生、現在は「2組3基」の変則態勢で運用している。
政府はこうした事態を解消するためレーダー3号機を11年度に打ち上げる予定で、成功すれば「2組4基」態勢を回復できる。(毎日)>
杜父魚ブログの全記事・索引リスト
4488 H2Aロケットが打ち上げに成功したのだが 古沢襄

コメント