4520 英語でお話しにならない方が宜しい 前田正晶

鳩山内閣が沖縄の基地問題の決着を来年に延ばそうかと言いだした。総理はまたもや前言を翻すようだ。国内向けなら兎も角、アメリカに向かってもそう言う気なのか。重大な問題が一つ増えるだろう。社民党が県内移設ならば連立離脱と言った途端に、またもやお馴染みの閣内不一致が始まった。
マスコミ報道では、鳩山総理はこの重大案件でオバマ大統領に向かって、”Trust me.”と大見得を切ったとある。私はこれだけでオバマ大統領が納得したとすれば、その信頼関係は余程強固なのであると思う。
私が、もし、アメリカ人の上司から非常に難しい仕事をやり遂げよとの命令を受けたとして、「私を信じてください」と言っても通らないと思う。それだけでは「何を、何時までに、どのようにして完遂するから、私のやり方を信じてください」という具合で、詳細に一言も触れていないのだから。
実は、現実にそういう場面があった。それは非常な難題だったので”Letme try to see what I can do about it.”と答えた。ところが怒られた。
何故ならば、これでは「何処まで出来るかやってみましょう」か「何とかやってみますか」と言っているだけで、「やり遂げる」という決意を表明していないからだ。
彼は「お前には”I’ll try to get it done.”と言って欲しかった。もしも、こういう表現の違いを知らなかったならば、いま此処で覚えろ」と厳しく言われた。つまり「自信がない言い方をするな」との叱責だった。
この辺りが英語独特のしつこさというか、ウンザリするような理屈っぽさである。「相手が解ってくれているだろうからと勝手に決めて、はしょって言うな」という意味である。
日本語の感覚であれば「信じてください」には「お任せください。何とかしますから」という意味が込められていないだろうか。”I’ll try tosee ~.”にもこういう感覚が込められているの である。
私は以前に「外国人と通訳を介在させずに難しい案件を英語で討論しない方が良い」と言っている。今回の鳩山総理の意中、即ち「来年までもお待ち頂くかも知れませんが、何とかしますから信じてください」をオバマ大統領が察してくださったとは思えない。
だが、恐らく儀礼的に「イエス」と言われたのかも知れない。これでは「だから言ったじゃないか」になりはしないか。
今からでは手遅れかも知れないと危惧するが、総理に「ご自身で英語でお話しにならない方が宜しいのです」と、誰かが決死の覚悟で忠告すべきである。いや、ここは一番小澤幹事長にその役をお願いするか。
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