4558 イノウエ米上院議員が米議会側初、日本に懸念 古森義久

【ワシントン=古森義久】米国議会の民主党長老でオバマ政権への影響力も大きいダニエル・イノウエ上院議員は米軍普天間飛行場の移設問題について日米両国政府の合意履行の重要性を強調し、合意の見直しを求める日本への深刻な懸念を表明した。
この発言は普天間問題に関する米議会側の初めての正面からの見解表明であり、同議員が沖縄駐在の米海兵隊のグアム移転を審議する上院委員会の委員長であることからしても、米国議会全体としての鳩山政権への批判の前兆とも受け取れる。
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イノウエ議員は普天間問題について「米日評議会」と米シンクタンク、ブルッキングス研究所が11月30日に共催した日米関係に関する非公開の集いで演説したなかで論じた。
演説記録は同議員事務所から8日、産経新聞に提供された。同議員は演説で横須賀や沖縄の米軍基地を基盤とする日米間の安保協力がアジア太平洋地域の安定を保ってきたと力説した。
同議員はさらに日米同盟が日本の防衛負担を減らして経済繁栄に寄与した側面をも指摘したうえで、普天間問題に触れ「支障のある結果を生む、誤解を招くような言明がいまなされている」と日本政府側の最近の混乱した発言への批判をにじませた。
イノウエ議員はそのうえで「普天間基地移転は日米両国政府が長い年月をかけて決めた合意の条項であり、(その合意とからめ)沖縄での米軍の存在を最小限にするという目的で米海兵隊の多くをグアムに移駐させる合意の履行をいま始めようとするところだ」と述べて、日米合意の履行の重要性を強調した。
さらに「ところが、いまやこの米軍再編の合意のさらなる変更を要求する声明が日本の新聞の一面をにぎわし、極端な場合、在日米軍の完全撤退までを求めている」と指摘し、この状態が「過去65年もの日米関係でも最も苦しく挑戦に満ちた時期のひとつ」を招いたという懸念を表明した。
同議員は日米同盟の最近までの状況が「貴重な人命と財産の、非常に高い代償によって達成され、平和解決と経済繁栄を得た」とも評し、この現状を変えることへの反対を明確にした。
イノウエ議員は日米両国の指導者たちに「冷静と忍耐」を訴える一方、「いまは大げさな、無責任な、脅しの言明をするときではない」と遠回しに鳩山政権内外に発言を抑制するよう求め、日米同盟の堅持によるアジア太平洋の安定と平和が「日米両国だけでなく国際社会全体の利益にかなう」と強調した。
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【プロフィル】ダニエル・イノウエ=1924年9月、ハワイ・ホノルル生まれ。59年にハワイ州選出の下院議員に当選、初の日系人議員に。62年に同州選出の上院議員に当選し、現在まで上院全体で2番目に長い在任歴を持つ。日米貿易摩擦が政治問題化した際は日本を批判したが、日本を非難する慰安婦決議案には反対を表明。現在、国防予算を含む連邦予算支出を管理する上院歳出委員会委員長。
 
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