アフガニスタン増派三万、兵站輸送ルートの一部はロシア上空を通過?まだクレムリンは「上空通過料金」の値上げを要求しているらしい。
ロシア与党内部でプーチン政権主流とメドベージェフとの間に強い亀裂が入った模様である。
今週のTIME(09年12月21日号)には、しかしながらカラーグラビアの見開きページで、プーチンが上半身裸での乗馬風景、その権力の衰えはいささかも感じさせない。。
「二頭立て馬車」なら分かりやすいが、プーチン独裁→メドベージェフ傀儡というのがロシアの権力構造。オザワ→ハトヤマ関係と似ていると言えば似ているが、小沢の「独裁」ていどではプーチンの脚もとにも及ばない。
ロシアは大統領の三選を禁じている。
そのため遵法のジェスチャーとして「首相」のポストに退いた。しかし事実上、プーチンは外交の晴れ舞台を独占し、日、米、NATO、中国との外交を一手引き受け。他方、メドベージェフ「大統領」はセルビアとかカザフスタン、アルメニアとかの裏街道訪問が多く存在が霞んでいる。
ロシアが誰によって治められているか鮮明に分かる。ところが、「側近」とか「一族郎党」が黙っていないのも世の常。クレムリン宮殿にとぐろをまくメドベージェフ側近軍団が動き出した。
プーチン・チームとの軋轢が目立ち、ネットや電話でお互いの誹謗中傷、足の引っ張り合いを執拗に展開している。
メドベージェフはどちらかと言えば対米外交にフレキシビリティがある。CIAとの協力、核廃絶への協力がプーチンほどかたくなな態度ではない。だが「カラシニコフはロシアが世界に誇るブランド」などと政府が武器の宣伝をする国柄では強面プーチンのほうが人気が高い。
プーチンは資源外交を強引に牽引してドイツとの「ノルド・ストリーム」(バルト海海底をパイプラインでドイツへ繋ぐ世紀のプロジェクト)の推進、またウクライナやベラルーシへのガス供給の締め付け強化など手口が強引だが「そういう分析は単純すぎる。日本の漫才のように『ボケと突っ込み』が絶妙で欧州政治の叡智に近い」という評価もあり、二人の対立は芝居だと「ニクソン財団」幹事のポール・サンダーズが言う。
米国が最も神経質なのは過去二年に亘る秘密交渉でロシア上空を通過する対アフガンへの兵站路線の実現だ。プーチンは戦略的に賛成しているが、メドベージェフ側近らは「残り少ない利権」拡大のため、米国から引き出す「上空通過料」のつり上げを狙っており米ロ交渉が頓挫している。
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4572 プーチン政権主流とメドベージェフの亀裂 宮崎正弘

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