今朝の産経は2面で「特例会見問題『国事行為』ではなく『公的行為』」という見出しで、民主党の小沢一郎幹事長が14日の記者会見で断言した天皇陛下と中国の習近平副主席との特例会見は「国事行為」論に異を唱えています。実は当初は、皇室関係法令の専門家である國學院大の大原康男教授の「小沢氏は不勉強だ」との解説をもとに記事をつくろうと思っていたのですが、タイミングよく共産党の志位和夫委員長が小沢氏発言の問題点を指摘してくれたので、それも取り込みました。
私は常々、共産党は社民党よりはるかに筋が通っていると考えてきました。私の人間観、社会観、価値観とは全く相容れないものの、デタラメで論理が破綻し、不勉強で情緒的で自己都合でどうとでも転ぶ社民党よりはずっとマシだと感じてきましたし、今回の志位氏の言葉についてもそう思います。
以下、昨日夕、都内のホテルで志位氏が記者団に語ったことを紹介します。自分の思い込みで憲法解釈も何もかもねじ曲げる小沢氏と違い、きちんと原則を押さえていますね。
記者 中国の習近平副主席の訪日は、特例の扱いについて批判がうずまく中での訪日となった。委員長はどこに原因があって何が問題だったのかと考えるのか
志位氏 この問題、きちんと整理して考えますと、すなわち、外国の賓客と会見をする、天皇が会見をするというのは、これは、憲法上、内閣の助言や承認を必要とする国事行為ではないんですよ。国事行為の中には、憲法を読んでもそういう項目、出てきませんでしょう。国事行為ではない行為なんですね。
で、こういう国事行為でない天皇の行為についてはですね、あの、政治的性格を与えてはならないというのが憲法の定めなんですね。すなわち政治的な、さまざまな性格を与えてはならない。政治的に中立であるべきだというのが憲法の定めなわけですね。
そういう点から考えますとね、今回は政府がその問題に関与することによって、政治的性格を与えてしまったわけですね。日本政府が。これはですね、やはり憲法の趣旨をたがえたもんだと、私は考えております。
記者 特例扱いの件。今回は政府として会談は設定するべきではなかった?
志位氏 うーん、あのー、すべきであったか、ないかっていうその判断、うんぬんの前の考え方として私は言いました。すなわち、何度も先ほど言った通りなんですけども、まあ、日本国憲法に照らしてどうなのかということをきちっと、整理して考えると、外国の賓客と会見をすると、天皇が会見するというのはこれは国事行為ではないわけですね。
内閣の助言と承認を必要とする国事行為ではないんですよ、この行為というのは。で、国事行為以外の行為なんですよ。国事行為以外の公的行為なんですね。この国事行為以外の公的行為については、政治的性格を与えてはならない、というのが日本国憲法の定めるところなわけですよ。ところが、そこに政府が関与するということになれば、やはり、それに政治的性格を与えてしまうことになった、と。
それはやはり憲法の精神をたがえるもんだと。もしこれがですね、同じことが繰り返されたら、例えば、開会式での天皇の発言がある。あれは国事行為ではない行為ですよね。それについて、内閣の判断でどういうものでもやれるようになったら大変です。ですからこれはね、大変原則的に大きな問題が問われているという風に思っています
記者 昨日の小沢さんの会見の論理は破綻とはいいませんけど、おかしいという認識か
志位氏 うーん、日本国憲法をよく読めということを小沢さんはおっしゃられておりましたけども、日本国憲法をよく読みますとね、そこには国事行為として厳格に定められてる項目がある。
その中には外国の賓客との会見は国事行為には入ってないんですよ。内閣の助言と承認を必要とする国事行為には入っていない、国事行為以外の公的行為なんですね。
そういうものには政治的な性格を与えてはならないというのが、日本国憲法の定めるところなんですよ。だから、小沢さんこそ憲法をよく読んでほしいと思いますね。
小沢氏の憲法論は、例の国連至上主義をはじめ、世間では全く認識が共有されていない独自の「小沢理論」(小沢氏の言う「民主主義」もさっぱり理解できません)が特色ですね。
今のような権力の座にいなければ、だれも相手をしない類の与太話なのですが、それを「おれは全く正しいことを言っている」(昨日の自身の政治資金パーティーでの発言)とごり押ししかねない立場にいるのが本当に困りものです。熱心な信者も抱えていることだし…。
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4610 共産・志位委員長が「小沢さん、よく憲法を読んで」 阿比留瑠比

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