4614 拙速で強引な手法は日中親善に逆効果 古沢襄

中国の習近平国家副主席の来日は、日中の親善をアピールすることが目的であったが、天皇陛下との特例会見を求めたことによって、日本国内にある反中感情を呼び起こした観が拭えない。
中国は2012年の国交正常化40周年に合わせて天皇陛下か皇太子さまの訪中を希望しているが、今回の特例会見によって実現がかえって難しくなったのではないかと、北京の日中関係筋の間に危ぶむ声が出ている。
これは小沢幹事長が憲法論まで持ち出して、特例会見に慎重だった羽毛田宮内庁長官を非難し、辞任まで求めたことによって、事態を紛糾させた。習近平国家副主席にとっても、意に反する結果となってしまった。2012年までは、まだ時間があるが、真の日中親善を増進するためには、仕切り直しが必要になる。
高齢の天皇陛下の訪中は健康上も無理があるが、皇太子さまの訪中を実現するためには、日本人の国民感情を配慮した慎重な運びが望まれる。2012年まで民主党政権が存続しているか疑問があるが、どの政権になるにせよ、もう少し地についた配慮がないことには、真の日中親善は生まれない。
<【北京=矢板明夫】中国の習近平国家副主席は16日、北九州市を視察し3日間の訪日日程を終了した。中国の次世代指導者の“お披露目”という意味を持つ今回の訪日は、日中の親善をアピールすることが目的だった。
しかし、特例扱いを受けての天皇陛下との会見は日本国民から反発を招き、日中関係筋の間には「今後の中国と皇室の交流に支障が出かねない」と逆効果を懸念する声も出ている。
習副主席は3日間の日本滞在中、与野党、日中友好団体、地方自治体など多くの日本側の関係者と交流したが、東シナ海ガス田共同開発、中国製ギョーザ中毒事件など日中間で懸案となっている具体的事案にほとんど踏み込まず、「今後の日中協力の大切さ」を繰り返し強調した。
16日付の中国メディアも、「特例会見」による日本国内の波紋にほとんど触れず、今回の訪問を「順調」「成功」と報じている。
しかし一方では、「訪問はむしろマイナス効果が大きい」との見方もある。北京の日中関係筋によると、中国側は2012年の国交正常化40周年に合わせて天皇陛下か皇太子さまの訪中を希望しているが、今回の特例会見によって実現が難しくなる可能性もあるという。
同筋は「多くの日本国民は、今回の中国側の強引な要請手法に不満をもっており、これからは中国による皇室の政治利用への警戒がさらに高まるのが必至だ」と分析している。(産経)
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