鳩山首相が普天間基地移設の関する決定を延期したことをニューヨーク・タイムズが12月16日付の記事で報じました。東京特派員のマーティン・ファックラー記者の報道です。
この記事の見出しは「日本の指導者が基地についての決定を延期する」となっています。この延期が日米関係、日米同盟にどのような結果をもたらすか。記事はいろいろな識者、関係者たちの言葉を引用しながら、以下のように記していました。
「この延期は日本の最も緊密な同盟国であるアメリカとのすでに悪化したきずなに、さらに新しい圧力をかけることが確実である」
「アメリカ政府にとってのチャレンジの一つは鳩山氏の主張の明確さ欠落である。鳩山氏は日米関係での日本の下位の立場を終わらせると唱えながら、アメリカとの同盟が依然、日本の安全保障の礎石だと強調するからだ」
「この延期は普天間移設問題に早期の決定を求めてきたアメリカ側の当局者たちをさらにいらだたせることになる」
「オバマ政権側がこのまま静かに数ヶ月、待てないとなると、日米関係は両国の戦後の同盟の歴史でも最悪の事態となるだろう」
「延期の決定は日本の有権者たちの間に鳩山首相のリーダーシップとアメリカとの致命的に重要な関係の管理能力への疑問を生み、離反させる危険がある」
まあ、以上のような諸点は日本側では常識だといえましょう。
しかしこのニューヨーク・タイムズの記事は次のような政治アナリストたちの言を結びとしていました。
「鳩山首相は普天間基地の(予定どおりの)キャンプ・シュワブへの移設以外には現実的な選択肢はないだろう。だから鳩山首相は結局は既存の合意に沿って、元の移設先への移転に同意することになるが、まず最初にアメリカに対して抵抗するというショー(芝居、見世物)を演じてみせねばならないのだろう」
つまりは、鳩山首相の今回の延期の決定も、自分が反米であることを誇示する大芝居かもしれない、というのです。
しかしこの解釈も疑問の余地は大ですね。
鳩山首相の現実感覚は識者の現実感覚とは異なるかもしれません。それに鳩山首相の「反米」は芝居ではなく、自然にわいてくる態度なのかもしれないからです。
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4623 鳩山首相の反米姿勢は芝居? 古森義久

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