4689 中国の武器輸出本格化 宮崎正弘

ロシアも狼狽する中国の武器輸出本格化。ジェット戦闘機の輸出もはじめ、ロシアが異様なる関心。中国が本格的に武器市場に参入してきた。
これまでにも通常兵器、ミサイルや機関銃などを産油国、アフリカ諸国に売却して外貨を稼ぎ、外交の道具として露骨に活用してきたが、いよいよ高性能武器の輸出戦線に躍り出てきたのだ。本格化が軌道に乗れば、いずれ欧米をも脅かすだろう。
1990年代から中国はロシアから大量の武器を購入し、装備の近代化に努めてきたが、わけても原潜、ミサイル駆逐艦、ジェット戦争機、スパイ衛星・・・。そして建造中の空母も旧ソ連の技術である。近年の装備近代化はそれほど著しかった。
2007年、ロシアは中国への武器輸出をぴたりと止めた。
理由はライセンス生産だった筈のスホイ機が中国で生産され、外国へ輸出され始めたからだ。中国が武器生産を自国に切り替えたことは将来の武器市場を掻き荒らす要素であり、ロシアが警戒するのは当然、これで中国はロシアと正面からの競合者となり、モスクワの神経を逆なでする。
マオイストをなのるチャベス大統領率いるベネズエラに売却される予定のジェット戦争機、練習機などはロシア製の中国版複製だという。
中南米のエクアドルは5200万ドルで中国製ジェット戦争機を購入するほか、6000万ドルで中国製のレーダーを輸入する契約を交わしている(米ジェイムズタウン財団発行『チャイナ・ブリーフ』、09年12月16日号)。
イランはモスクワからのS300ミサイル輸入が成立しない場合、中国から類似のミサイル(HQ9,地対空ミサイル。米国製パトリオットもまねた防御ミサイルで、FD2000とも呼ばれ、射程高度7キロから125キロ。誤差25メートル)を輸入すると言明し、ロシアを怒らせた。エジプトとトルコとも北京との間にミサイル商談が進んでいる。
とりわけロシアが注目しているのはスホイ27改良型の「殲11」ジェット戦闘機だ。中国はこれを150機をパキスタンへ配備する計画があるとしている。
アフガニスタンに隣接するパキスタンは半世紀にわたる中国の軍事同盟国家であり、北京は最近のパキスタンの対米傾斜を不快としていることも手伝った高性能武器の市場開拓のテストケースにしたいという思惑もある。
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