4697 首相、グアム移転「無理がある」普天間問題で認識 古沢襄

<鳩山由紀夫首相は26日のラジオ番組収録で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先にグアムを挙げる意見が政権内にあることについて「抑止力の観点からしてみて、グアムに普天間(の基地機能)をすべて移設させるということは無理があるんじゃないか」と述べ、実現は困難との認識を示した。
司会者に「そうすると国内で解決をするということか」と問われると、首相は「そうだ」と応じ、国外移設は難しいとの考えを示した。首相は来年5月までに移設先を決めたいとしているが、今後は日米合意に基づく移設先(名護市辺野古)を含め、国内を中心に移設先を選定するとみられる。
グアム移設を巡っては、首相が4日、グアムを一つの選択肢として検討する考えを明らかにした。そもそも、日米合意では沖縄の負担軽減策として海兵隊8千人がグアムに移転する計画がある。
ただ、北沢俊美防衛相は今月上旬に現地視察し、「(現行の)日米合意から大きく外れる話だ」と述べ、実現は難しいとの考えを示した。岡田克也外相も否定的な考えだ。一方、県外・国外移設を主張する社民党は「グアムや硫黄島への移転検討」を緊急提言しており、近く同党議員団が現地視察を予定している。
また、首相は閣内で意見がばらばらだったことについて、「各閣僚も自分の思いを、勝手にとは言わないが正直に話されてきた。しっかり打ち合わせをして、話すべきでないところは話すべきではなかった。本来なら、1人だけが発言するようにとどめておかなければいけなかった」と述べた。(朝日)>
普天間移設で鳩山首相がまたブレたという声が出そうだが、そうではあるまい。普天間移設は来年の五月までに結論を出すと、迷走していた鳩山首相には珍しく不退転の決意を表明したばかりである。念を押す様に「これは約束します」と述べた。
この約束が果たせない様なら、鳩山首相は退陣を迫られる。迷走したままの党首を抱えて参院選を戦うわけには参らない。
鳩山首相は国外のグアム移設が出来ると本気で考えていたフシがある。それが不可能と見通していた岡田外相、北沢防衛相とはスレ違いをみせている。しかしオバマ米大統領、クリントン国務長官と会ってみて、米側の壁の厚さを身をもって悟った。
「抑止力の観点からしてみて、グアムに普天間(の基地機能)をすべて移設させるということは無理があるんじゃないか」・・・という鳩山発言は、社民党が主張している国外移設を初めて否定したことになる。当然のことながら、社民党は反発している。
民主党にとって最大の政治課題は、ようやく年内編成にこぎ着けた本予算を年度内に成立させることにある。そのためには三党連立の結束を崩すわけにはいかない。参院で民主党は過半数の議席を得ていないからである。本予算は衆院の圧倒的多数を背景に可決し、場合によっては自然成立を待つことが出来る。
しかし予算関連法案は参院で一つひとつ可決して成立させねばならぬ。数は少ないが社民党の協力なしには国会を乗り切るのは不可能である。対米関係を損なっても、三党連立維持を優先する鳩山首相の政治判断は、ここから出ている。
しかし、いつまでも社民党に鼻面を引き回される民主党政権では、いずれ国民の支持を失うであろう。現実に鳩山内閣の支持率は五割を切った。世論調査では三党連立の支持は少数派である。国民は参院でも民主党が単独で過半数を占めて、新しい政治を断行する期待がある。
この期待がしぼんで、内閣支持率が過半数を切ったことは、自民党政治はダメだが、三党連立政治もダメだという国民の意思表示ととれる。ここで自民党が割れて、新しい保守勢力が生まれれば、民主党と新保守政党との連立が俎上にのぼる。
小沢一郎氏が模索した自民党と民主党の大連立が、形を変えて出てくる可能性がある。桝添氏の動きは、その可能性を予測させる。鳩山首相も遅まきながら、その底流を見始めたのではないか。いずれにしてもキイマンは小沢氏なのであろう。
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