政治の混迷を政治家のせいにしてはいけない。国民が選挙で選んだ政治家たちだからである。とはいうものの今の政治制度が最善のものか、立ち止まって考える必要がありそうである。来年夏の参院選で民主党が大勝し、単独で過半数を占めれば、事の是非は別として政局は安定するだろう。
だが内閣支持率が過半数を割り、民主党の支持率が50%を越えない現状では、単独過半数はかなり難しいのではないか。まだ半年以上もあるから、今から軽率な予測をするのは慎まねばならないが・・・。
しかし常識的な判断をすれば、国民新党、社民党を合わせての過半数維持の可能性が高い様に思う。そうなると民主党は国民新党、社民党に配慮し、政策面で引っ張られる今の図式が続くことになる。
野党にとって僥倖にも自民党と公明党、共産党、改革クラブ、みんなの党が参院で過半数を占めるとしたら、三〇〇議席以上を持った政権与党が参院過半数を持たないために政局の混迷を招いた自民党政治の”裏返し”現象が起こる。これは、いつか来た道になってしまう。
さらに言うなら、自民党、公明党、共産党、改革クラブ、みんなの党はそれぞれ違う方向を向いている。参院で共産党がキャッシンボードを握る可能性すら出てくる。国民新党、社民党に配慮を重ねてきた民主党は、新たに共産党に気を使うことになりかねない。
小選挙区制度が一院制だけなら機能するだろうが、参院制度との二院制なのだから、常に”ねじれ現象”の危険性が伴う。それを防ぐには、衆参ダブル選挙という手法が繰り返され、常態化することになりはせぬか。
”ねじれ”があっても、それを乗り切る政治制度がある。それは強力な大統領制度をもった国々である。大統領は拒否権を発動して、議会の反対を抑え込むことが出来る。国民は大統領を直接選挙で選んでいるからである。
だが日本の政治制度は多数与党が首相を選ぶ間接選挙をとっている。首相が国民の信を失えば、多数与党が新しい首相を選ぶことが出来る。これは首相の”たらい回し”と言われても仕方ない。自民党はそれをやって、政権を維持してきた。
首相の権限を強化し、国民が直接選挙で首相を選ぶのが「首相公選制」である。大統領制度に限りなく近くなり、中曽根康弘氏が唱えていたが実現していない。
小選挙区制度を導入して10年以上経ったが、最近はこの制度のマイナス面が目立つ様になった。ここで参院制度の改革を含めて、首相公選制も考える時期に来ているのではないか。
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4713 今の政治制度が最善のものなのか? 古沢襄

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