NATO情報主任が米国CIAの作戦のまずさを非難した。思慮を欠いている、と凄まじい罵倒。同盟NATOの情報主任ミカエル・フライン推将が報告書をまとめた。
「アフガン社会の細部の観察が不注意で、部族のしきたり、習慣を加味し誰がパワー・ブローカーであり、誰が敵対的かの情報をつかむ努力がされていない。情報の分析よりも、明日の国家の運命がかかっている未来予測に繋げなければ意味がない。思慮を欠くと言わざるを得ない」。
これはクリスマスにおきたデトロイト空港の飛行機爆破未遂とコストにおけるCIA基地襲撃の後に提出されるかたちとなり物議を醸す。
つまりヒエラルキー社会である軍と、その情報部は上層部を説得することを主目的に報告をつくるから、目前のテロリストの具体的動きに不注意になる。
とくにアフガン東北部、パキスタンとの国境にあるコストという町は南ワリジスタン征討作戦を逃れたPTT(パキスタン・タリバン)の主力が逃げ込んだ地域。この周辺のCIA基地が襲撃され、7名のCIA要因が殺害された。
過去四半世紀で最悪の被害。しかも自爆犯のひとりは、CIAが雇用していたヨルダン人で「ダブル・スパイ」だった。
このNATO報告書をまとめたミカエル・フライン推将は米国情報部出身の軍人で、マクリスタル司令官の右腕としても知られる。アメリカ人。
昨夏、マクリスタルがまとめてアフガニスタン情勢と、四万人増派建言も、マクリスタルが、フラインの助言を入れた(フィナンシャルタイムズ、1月6日)
一方、イエーメン政府軍は5日、一万の軍隊を動員してアルカィーダの拠点を見られる三箇所を攻撃した。首都サヌアの米国大使館、英国大使館は業務を再開した。
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4740 CIAの戦略的無思慮が事態を悪化させている 宮崎正弘

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