4746 皇室と英王室の愛玩犬 古沢襄

英国のロイヤルファミリーは犬好きで知られている。エリザベス女王は18歳の誕生日に父親のジョージ六世からコーギー犬を贈られている。いまでは英王室犬として有名な犬種だが、もとは言えば牛を追ったり、羊の番をする労働犬。
12キロぐらいの小型犬で足が短い。尾は断尾してしまう。羊の群れを囲いに追いやる時に、尾を踏まれないために断尾してきたという。北欧の海賊ヴァイキングが連れてきたスウエーデン犬が先祖だという説があるが、よく分からない。
だが英王室の愛玩犬になってからコーギーの格があがった。椅子に腰掛けたエリザベス女王を囲んで四匹のコーギーが写っている写真をみたことがある。愛犬の名前はケルピー、スウイフト、フェニックス、エマ。コギーの正式な名称はウエルシュ・コーギー・ペンブローグ。コーギーの名はケルト語で犬、ウエールズ語で小さな犬の意味だという。
十数年前のことだが、柴犬を飼いたいと思って友人に相談したことがある。友人はローマ・オリンピックに出た水泳選手で犬のことが、やたらに詳しい。
「柴犬も良いがコーギ-にしませんか」
「コーギーって何?」
「イギリス犬ですよ。頭の良さではスピッツよりも上」
といったやりとりがあって、日本犬ではなく洋犬を求めることになった。当時、洋犬で流行っていたのはシベリアン・ハスキー。ドッグ・ショーでも活躍していた。シベリアの大地で犬橇(そり)曳いた労働犬だが、ハスキーの名を付けたのはアメリカ人だったという。大柄で頑丈な男の意味がある。
「シベリアン・ハスキーの幼犬は可愛いが、やたらと大きくなる大型犬。一日の運動量が多いので、飼ってから苦労するんじゃーないかな」と友人は言う。「それに頭が弱い」と気になることを言った。
結局はコーギーのメスを世話して貰うことになった。わが家に来た晩のコーギーは、私たち夫婦の布団の回りをグルグル駆けめぐって寝付こうとしない。興奮していたのであろう。この王女様に「チロ」という名を付けた。チロは鶏の唐揚げが好物。骨を綺麗に残して食べる。食後はブドウなのだが、皮と種を残して食べる得意技を持っている。
「さすが、英王室の愛玩犬だけのことはある」
と妙なところで感心するばかり。3歳になった時に前橋まで行って、同じ様に血統書付きのオス犬とかけ合わせて生まれたのがバロンという名のオス犬。産婆役は私がやったから、バロンは私のことを父親だと思ったらしい。私も息子が出来た様に嬉しかった。
だが血統書付きの純血種は、どこか弱い。チロもバロンも12歳で死んだ。とくにバロンを失った時の喪失感は大きい。しばらくは犬売り場に行って、コーギーの幼犬を一日中眺めて、心の傷を癒す日々が続いた。どうにも我慢が出来なくなって、買ったのが今のバロン二世。
バロン二世の祖父犬は静岡でチャンピオン犬だったという経歴も気に入った。チロやバロンと違って”体育会系”。これなら長生きしてくれるという思いで選んだ。しかし体育会系だから、やたらと規則を守りたがる。
夏は朝4時、冬でも五時半になると私を起こしにくる。胸の上に乗ってきて、様子をしばらく窺っているが、少しでも身体を動かすと、私の顔を舐めたり、胸のあたりをゴシゴシ掘ったりするから、とても寝てはおれない。夜は7時のニュースが終わると、二階の寝室に連れて行けと激しく催促してくる。
豪雨の日でも大雪の日でも、一日に二回の散歩は欠かしたことがない。”犬時計”というものがあるのだろうか。もっとも、そのお陰で私の健康が維持されている。
テレビで『HACHI 約束の犬』の日本語吹き替え版を見た。試写会に皇太子、雅子妃殿下、愛子様が行啓になった。愛子様は犬が大好きだ。柴犬の愛犬「ゆり」を可愛がっているという。
日本の皇室が柴犬を飼っているのは嬉しい。雅子妃殿下の考えなのだろうか。英王室がコーギーを飼っている様に日本の皇室が日本犬を飼うのは正しいことだ。愛子様がエリザベス女王の様に愛玩犬を持つことは素晴らしいことだと思う。
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コメント

  1. 白浜の宮易 より:

    犬を飼っていると 心が和みますよね
    やはり 犬?は家族の一員で 毎日欠かさず食事と散歩を続けて生きましょう

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