4748 経済に強い英ロイターが見た菅財務相 古沢襄

■菅財務相より仙谷国家戦略担当相に注目
市民運動家あがりの菅直人氏には「経済に疎い」との風評がつきまとう。市場には「経済オンチ」の財務相という不安も漂っている。その一方で「国会審議を乗り切る戦闘能力は相当高い」と民主党内には高い評価がある。財務省の官僚たちは、一様に口を閉ざして語りたがらない。
英ロイター通信社は経済専門の世界的な通信社である。鳩山人事について「中期的な財政再建については、菅氏の人事よりも仙谷氏のそれの方が重要とみる。国家戦略を担うことになった仙谷氏が、鳩山内閣の中で際立つのは、消費税引き上げ議論の重要性を指摘していること。消費税議論の位置づけが従来より高まる可能性がある」・・・と分析している。
仙谷氏も旧社会党系の弁護士あがりだから、経済にそれほど強いとは思えないが、財政・金融のカンどころを押さえている人である。英ロイターが菅財務相よりも仙谷国家戦略担当相の人事に注目しているのは、面白い。仙谷氏を支えるために枝野元政調会長を首相補佐官に起用している。
お坊ちゃん首相の人事と揶揄されているが、仙谷・枝野人事はバランスのとれた人事として評価して良いのではないか。ただ小沢支配が強まっている現状で仙谷・枝野がどれだけ力量を発揮できるか?、これは未知数といえる。
■「ああいえばジョウユウ」
とはいうものの、菅氏の国会答弁能力は政界で異才を放っている。「経済に疎い」といっても野党の方も財政・金融に強い政治家の数が少ない。予算案の国会審議を乗り切るのは、さして問題はないと思う。マクロ経済をマイクロ経済と読み間違えるほど「経済オンチ」ではない。
オウム真理教から別れたアーレフの上裕史浩(じょうゆう ふみひろ)氏の弁論術は「ああいえば、ジョウユウ(こういう)」と言われたくらい際だっていた。相手を言い負かすディベート技術に長けていたと言っていい。
菅氏の国会答弁能力も一種のディベートといえる。中途半端な財政・金融論で菅財務相に挑んでもチョロ負かされるのが”落ち”ではないか。本格的な論戦を挑むのなら与謝野馨氏ぐらいしかいない様に思える。
■バークレイズ・キャピタル証券チーフエコノミスト 森田京平氏
中期的な財政再建については、菅氏の人事よりも仙谷氏のそれの方が重要とみる。国家戦略を担うことになった仙谷氏が、鳩山内閣の中で際立つのは、消費税引き上げ議論の重要性を指摘していること。消費税議論の位置づけが従来より高まる可能性がある。
財政については、7月の選挙に向けて与党の支持率が下がると、だれが財務相であろうと、何らかの景気対策を考えることはあると思うが、それを日銀にさせることはないと思う。 
菅氏が財務相となることで、日銀との距離は近くなる。しかし白川総裁が言っているのはデフレ対策で重要なのは流動性よりも需要。これは金融政策より財政政策の方が出遅れていることを示す。菅氏が昨年の「デフレ宣言」で日銀に投げたボールは、12月1日の新型オペの導入で、日銀としては政府に投げ返しているという意識がある。日銀としては、今回の菅氏の財務相就任で具体的な政策をとるプレッシャーにさらされるということはあまりないと思う。(ロイター)>
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