4808 小沢、鳩山はなにと戦うのか 古森義久

民主党の小沢一郎幹事長をめぐる不正容疑事件は側近の逮捕により急展開をみせました。小沢氏自身、そして鳩山首相のこの刑事事件の展開に対する態度はきわめておもしろいとえいます。
小沢氏は記載のミスが法律に違反した可能性を認めながらも、石川知裕衆議院議員ら側近3人の逮捕に対しては、不当だとして「断固、戦う」と述べています。
鳩山首相は小沢氏のこの言葉を受けて「戦ってください」と述べました。「小沢氏を信じている」「潔白を説明してください」とも語りました。小沢氏は全面的に無実だという前提です。
しかし小沢氏、鳩山氏ともに一体なにと「戦う」というのでしょう。普通に考えれば、検察当局です。ということは司法当局と戦うというのです。
かりにも鳩山首相は行政府の長です。その長が日本の司法と戦うというのです。司法そのものが間違っているという前提でしょう。
小沢氏も同様です。司法の任意取調べの要請にも応じず、司法の措置はまったく間違いだと断ずるのです。小沢氏は民主党の幹事長、つまりは立法府の幹部です。
こうみてくると、同じ日本国の行政府、立法府の代表が司法当局全体の動きを不当だとか間違いだと断定するという奇妙な構図が浮かびあがります。三権分立のなかでその二つの権力がみずから監視を受けるはずの第三の権力の行動を頭から不当だと非難するのです。
こうした鳩山、小沢両氏の態度は日本の司法全体の否定にもつながりかねません。司法の基盤や枠組みの否定とさえ、受け取れます。「法の統治」を踏みにじるに等しいでしょう。
司法の措置がすべて正当だとはいえないのは当然でしょう。しかし司法の措置の枠組みまでを頭から不当だと非難することは三権分立のメカニズムの否定にも等しくなります。
検察の措置がはたして不当なのか、否か。法の枠組みの中で真相を追求していくことこそ、自然な対応でしょう。であるのに、小沢・鳩山政権はその法の枠組みに悪口雑言を浴びせることから対応を開始しているのです。
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