十八日から通常国会が開幕する。民主党大会では「検察と全面対決する」という小沢幹事長を党員は拍手で支持した。だが一抹の不安が漂う。怖いには検察でも野党・自民党でもない。世論の動向が、どう出るか。十八日には大手マスコミの世論調査が出るだろう。
世論の動向によっては、民主党政権は小沢幹事長と一蓮托生で沈没することになりかねない。会場を出た党員からは「菅首相・原口幹事長」の新体制で出直しするしかないと、正直な声も聞かれた。小沢強権政治から脱却するしかない、という声なき声が出始めている。
<民主党の小沢幹事長の資金管理団体の土地購入を巡り、小沢氏の秘書だった同党の石川知裕衆院議員が逮捕された事件で、小沢氏は検察と全面対決する考えを強調した。
鳩山首相と党執行部は小沢氏を支えることで一致したが、小沢氏に依存せざるを得ない体質の危うさも露呈している。
◆同じ芝居◆
16日午後、民主党大会の壇上で小沢幹事長が「検察と断固闘う」と力説すると、会場は拍手に包まれた。政務三役の一人は自らも拍手しながら、内心は不安感に包まれていた。
「西松事件が発覚した去年の3月と言っていることがそっくりだ。全く同じ芝居を、同じせりふのまま2度見せられている。こんな主張で持つのだろうか」
小沢氏は代表だった昨年に、自らの公設第1秘書が逮捕されて検察を強く批判し、幹事長だった鳩山首相は「国策捜査」とまで口にした。小沢氏は世論の批判の前に5月に辞任したが、民主党は8月の衆院選で大勝したため、党内では「小沢氏の事件のダメージコントロールに成功した」と自賛する声まであった。
政権党として初の党大会を迎えた今年は、取り巻く環境が決定的に違う。
小沢氏と距離を置く中堅は「去年は自民党政権が検察を使って政権交代を妨害していると言えば同情も得られた。今、世論に捜査批判があるのか」と漏らす。
そんな不安を抱えながらも、党内で小沢氏批判の声を上げれば政権の不安定化に直結するという懸念の方が大きいのが実情だ。昨年は小沢氏に説明を求め、反旗を翻した仙谷行政刷新相も16日夜、「もう少し事実が分かるまで見てみないと」と言葉少なだった。
◆「俺は闘うよ」◆
石川容疑者が逮捕された15日夜、小沢氏は迷いなく続投の決意を固めた。
「俺は闘うよ」
16日午前、首相公邸に向かうのに先立ち、小沢氏は輿石東参院議員会長に電話で宣言した。輿石氏が「俺もむかむかしているんだよ。やりましょう。覚悟を決めて」と同調すると、小沢氏は意を強くした様子で、「これから総理にも報告します」と告げた。
この瞬間、小沢氏の続投と、幹事長業務を輿石氏に委ねることが固まった。
小沢氏を支持するグループは党内最大勢力。輿石氏は参院を束ねる要で、党の最大の支持団体である連合との窓口でもある。その2人が、50%超の内閣支持率を保つ首相を支える。政権最大の危機に当たり、執行部の選択肢は、この枠組みの強化しかなかった。(読売)
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