4812 西側最大のアルカィーダ拠点は英国 宮崎正弘

ロンドンに2000名の支持者。アフガニスタン、パキスタンの旧宗主国、21世紀のディレンマ。英国情報部が把握しているアルカィーダの同調者は英国内に2000名前後いるという、まことに矛盾した事実が浮かんだ。
英米が震撼したのはクリスマスのデトロイト空港爆破未遂事件だが、犯人のウマル・ファロウク・アブドルムタラブはナイジェリア人。ナイジェリアはいうまでもなく旧英国植民地。
イエーメンで特訓を受け、爆弾を渡され、アムステルダム経由でノースウエスト機に乗り込んだ。この男はCIAが危険人物のリストに挙げていたが、拘束するほどの緊急リストにはなく、搭乗が許可された。
アブドルムタラブは2005年から08年、ロンドンに留学、ここでアルカィーダの代理人にリクルートされて過激派になった。
MI5のボス、ジョナサン・エバンズは「英国内に巣くうアルカィーダの同調者、支持者はおよそ2000名。そのうちの何人かは、すでにアフガニスタンとパキスタンの軍事秘密拠点で訓練を受け、さらに次のテロ計画を英国内で立案し、世界各国へ過激派を派遣している可能性が高い」とした(英紙『テレグラフ』、1月15日付け)
げんに09年11月テキサス州の米軍基地で銃を乱射したのはアルカィーダに教唆された兵士だったし、パキスタンでCIA工作員7名が爆殺された事件も、CIAエージェントのヨルダン人、じつは二重スパイだった。これら一連の事件に英米は衝撃を受けた。
▲グアンタナモに収容されていた過激派は釈放後、またアルカィーダ拠点へ戻る
オバマはグアンタナモに収容されたアルカィーダ系テロリストを「一般犯罪」の刑事被告人同様に扱うとして次々と釈放、もしくは米国本土の刑務所へ移送し、グアンタナモを閉鎖するとした。
これほど国家安全保障と治安対策に甘まったるい大統領は、鳩山と並ぶほどだが、さてブッシュ時代の2007年にサウジアラビアへ返還された容疑者は15名。たちまち、そのうちの六名がアルカィーダ拠点へ戻った(BBC,ピーター・テーラー記者)。
デトロイト爆破未遂のアブドルムタラブは取り調べに対して、「あと25名が世界各地で攻撃目標に突撃する準備が出来た」と語っている。
現実問題としてイエーメンに「サウジアラビアのアルカィーダ」の拠点が構築されており、パキスタンとアフガニスタン国境に本拠、ほかにスーダンにも秘密基地があると言われるが、MI5筋はパラグアイ、ウルグアイ、フィリピン、インドネシアにもアルカィーダの細胞があって活動しているとしている。
 
かれらは国際的な連絡網を再構築し終わっていると前掲テレグラフ紙は伝えている。
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