理工系出身の鳩山首相だから、仕方ないのかもしれないが、「朝三暮四」と「朝令暮改」を同じ意味と思っていたのはお粗末。「朝令暮改」は高校生でも知っているだろう。出典は「漢書(かんじょ)」。朝出した法令を夕方にはもう変更するので、法令がすぐ変わって一定しないこと意味する。マスコミの入社試験にもよく出る。この方は一般的だ。
22日の衆院予算委員会で自民党の茂木敏充氏は、前政権が編成した09年度1次補正予算の2.9兆円分の執行を停止して2次補正案や10年度予算案を編成したことについて、「朝三暮四のごまかしだ」と批判した。
この「朝三暮四」の出典は「列子(れっし)」。文字通り、朝に三つ、夕方に四つの意味だが、中国の宋の狙公の故事に拠る。狙公はサルを飼っていた。エサに与える木の実を朝は三つ、夕方に四つやると言ったら、サルは怒った。
そこで狙公は朝は四つ、夕方に三つやることにしようと言ったらサルは喜んで承知した。同じことなのに気がつかない喩えとして用いられる。
「朝令暮改」はよく知られているので、マスコミの入社試験では「朝三暮四」の方がよく出題される。茂木敏充氏は東大経済学部を卒業して、ハーバード大学ケネディ行政大学院修了した後に読売新聞社を受験して政治部記者になったので、「朝三暮四」と「朝令暮改」の違いは知っている。
戦前は理工系出身であっても、中国の古典は読んでいた。戦後は、中国の古典はもちろん日本の歴史を知らない若者が多い。
予算委員会で、鳩山首相が故事成語の「朝三暮四」の意味を自民党の茂木敏充氏に問われ、命令が一定しない「朝令暮改」と勘違いするやりとりがあったが、戦後教育の欠陥を首相自ら露呈してしまった。古典は人間の知恵を詰めた宝石箱なのだが・・・。
茂木敏充氏の質問に首相は「よく知っている。朝決めたことが夜にすぐ変わるという意味で、あっさりと物事を変えてしまうこと」と答えた。少し、残念ですね・・・。だから”軽い首相”と言われてしまう。
<鳩山由紀夫首相が22日の衆院予算委員会で、朝と夕で数を変えてごまかすという意味の故事成語「朝三暮四」を知っているか尋ねられ、決めたことをころころ変える「朝令暮改」と取り違えて失笑を買う場面があった。
自民党の茂木敏充氏は、自公政権で成立し、鳩山内閣が執行停止した2009年度第1次補正予算の事業が、現在審議中の同第2次補正予算案に盛り込まれていると批判する趣旨で、首相に朝三暮四の意味を尋ねた。
首相は「よく知っている。すぐに物事が変わっていく、あっさり変えてしまうということだ」と自信たっぷりに答弁。茂木氏はすかさず「それは『朝令暮改』だ」と突っ込んだ。
麻生太郎前首相は「未曾有」を「みぞゆう」と読むなど漢字の誤読が支持率低下の一因になった。四文字熟語という意外な“弱点”が露呈した鳩山首相。与党からは「縁起でもない」との声も。(共同)>
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4844 首相、「朝三暮四」を「朝令暮改」と勘違い 古沢襄

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